「優しい駅」へ連携、筑波技術大とTX 筆談アプリ、駅員の誘導 学生が体験デモ
視覚、聴覚障害者が学ぶ筑波技術大(茨城県つくば市、石原保志学長)と、つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道(東京、柚木浩一社長)が21日、連携協定を結んだ。学生の意見を駅構内や車両のユニバーサルデザイン(UD)に生かし、障害の有無にかかわらず、誰にも「優しい駅」に向け利便性を高めることを目指す。
両者は2016年度から協力し、光の点灯で火災発生を知らせる警報装置を設置するなど、学生による設備の点検と改修に取り組んできた。協定締結により、持続的な連携体制の構築につなげていきたい考えだ。具体的には、学生と社員の意見交換会や、障害者へのサポート方法についての研修、UDに関するTXの講義、施設見学などを実施していく予定。
つくば市天久保の同大天久保キャンパスでこの日開かれた協定式で、柚木社長は「世の中をリードしていけるような形で、ユニバーサルデザインに関する取り組みを進めていきたい」と展望を語った。
TXつくば駅構内では、障害者支援を学生が体験するデモンストレーションもあり、産業技術学部4年の脇山彩葉(いろは)さん(21)と、保健科学部3年の近藤凌也さん(20)が参加した。
聴覚障害がある脇山さんは、窓口での乗り換え案内の対応を体験。タブレット端末の筆談アプリを使って目的地を伝えたり、乗換駅の説明を受けたりした。視覚障害がある近藤さんは、駅員に誘導されながら改札からホームまで移動。ホームドアや階段の点字を確認した。
脇山さんは「筆談で話の内容を書いてくれるのはありがたい。スマートフォンのタップが得意な人は、そちらの方がよりスムーズだと思う」と意見していた。
同社旅客課の岩崎太郎係長は「スマートフォンによるやりとりも一つの方法と研修や教育の場で伝えていきたい」と応じていた。