茨城県常陸太田市女性消防団(茅根みつる分団長、団員8人)が、幼年消防クラブの結団式で防災寸劇を披露し、園児たちの防災意識の高揚を図っている。今年は新作の「水害編」を制作し、寸劇に紙芝居を取り入れた。より子どもたちの印象に残る工夫を凝らし、自分の命を守る方法や災害への備えなどに役立ててもらおうと熱演を続けている。

女性消防団は2006年に発足し、14年から幼年クラブの結団式に参加している。「小さな頃から防災意識を高めていきたい」と市内の全幼稚園・保育園・こども園を回り、これまでに「火災編」「地震編」の寸劇を披露。水害編は団員でストーリーを考え、2～4月に紙芝居を作成。週2回ほど集まって練習を重ねてきた。

紙芝居の導入はソーシャルディスタンスを保ち、寸劇と畳1畳分の大きな紙芝居を組み合わせることで印象に残るようにした。紙芝居には穏やかな川が急に茶色になったり、山で土砂崩れが起きたりするなどの仕掛けを施した。途中で飽きないようにと、おさらいのクイズも出題している。

同市上河合町の市立幸久幼稚園(和田美恵子園長、園児30人)では5月26日に結団式が行われた。

そろいの法被姿の年長組12人を前に、団員が演じる消防のお姉さんと5歳児の「しょうこちゃん」が登場。2人の掛け合いで、水害への準備や避難時の持ち物、避難の仕方などを伝えた。習ったばかりのことを「しょうこちゃん」が間違った時や、クイズでは、元気いっぱいに手を挙げるなど園児たちは楽しく学習していた。

茅根分団長は「今日見たことを家の人たちにも伝えて家庭でも防災について話し合ってほしい。いつ災害に遭うか分からないので、自分の命は自分で守れる強い子になってほしい」と話した。

市消防本部は「女性消防団の寸劇による防災教育は分かりやすく効果が上がっている。幼年期からの防災教育は、将来の防災活動に参加できる人材を育成していく重要な活動」と期待を寄せている。