茨城県五霞町で2003年7月、都内在住の都立高1年、佐藤麻衣さん=当時(15)=が遺体で見つかった殺人死体遺棄事件で、茨城県警は29日、佐藤さんが行方不明となる直前の姿を映した防犯カメラの動画を新たに公開した。佐藤さんが電話をしながら買い物する姿を捉えている。未解決事件の解明に向けた呼び水にしようと、7月3日に埼玉県草加市で実施する、情報提供を呼びかける街頭活動で活用する。

29日の県警定例会見で、和地義明刑事部長が動画を公開し、「些細な情報でも事件解決に結びつくかもしれない。積極的な情報提供をしていただけることを願っている」と市民に求めた。事件発生から19年が経ち、遺族が映像と顔写真の公開を承諾した。

動画は03年7月6日午後6時半ごろ、草加市の瀬崎浅間神社の夏祭り会場付近にあるコンビニで撮られた。佐藤さんは白色のバッグと赤色のビニール袋を肩に掛け、携帯電話で通話しながら2本の飲み物を購入していた。祭り会場に同9時過ぎまで滞在した後、神社から北へ1人で歩く姿が目撃されたが、その後の足取りが分かっていない。

佐藤さんは3日後の同9日朝、五霞町川妻の用水堀に遺体で発見された。死因は頸部圧迫による窒息死だった。この携帯電話は、事件の手がかりが得られる可能性があるとして県警が探している。

県警のホームページでは、事件の概要をはじめ、佐藤さんの特徴や服装、所持品、目撃場所の地図を紹介している。情報提供はフリーダイヤル☎(0120)006475。

遺族は、県警を通し、「事件から長い年月が経ちましたが、私たちは今でも昨日のことのように思い出します。傷は癒えることはありません。前に向かって強く生きていくしか道はないのです。これが残された家族の辛さです…。1日も早く犯人逮捕を願っています」とのコメントを出した。