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参院選茨城 地域経済、出口戦略を コロナ共存探る宿泊・食品業

コロナ禍で生産量が減少する中、野菜をカットする従業員=行方市手賀のフィルド食品
コロナ禍で生産量が減少する中、野菜をカットする従業員=行方市手賀のフィルド食品


「状況は最悪」。厳しい表情で話すのは、茨城県潮来市あやめにある潮来ホテルの高塚悌治社長。「シティーホテルやビジネスホテルはある程度、客足が戻ってきたが、旅館業は苦しい」と漏らす。

水郷潮来あやめまつりの名物イベント「嫁入り舟」が3年ぶりに復活。会場は目の前だが、宿泊客が大きく増えることはなかった。「あやめまつりも日帰りが定着してしまった」

コロナ禍が始まって2年半。創業以来、一度も休業していないという誇りを持って、宿泊客ゼロでも営業を続けた。今年に入っても厳しい状況は変わらず、客足はコロナ前の3分の1程度にとどまる。

高塚社長は「これからは(旅行代理店に頼らず)旅館が自ら企画を考え、エージェント化することがより一層求められる」と指摘する。同館では、ビジネスホテルのように使えるプランや、海水浴場への送迎が付いたプランなどを提案し、好感触を得ている。

「私たちも新たなチャレンジをする。政府には、税制優遇や全国的な旅行キャンペーンなど、苦境にいる者への援護をしてほしい」と期待する。

旅行や観光とともに航空需要が激減。地域の企業にも影響が出ている。

機内食やホテルのレストランで使うカット野菜を手がけるフィルド食品(茨城県行方市)。野原豊実社長は「一番ひどい時期は、この先どうなるか、答えが出ないことをずっと考えていた」と振り返る。

同社は手作業による丁寧な仕事ぶりが評価され、コロナ禍前の業績は順調に伸び、2019年度の利益は過去最高を記録した。しかし、コロナ禍で売り上げは一気に10分の1以下まで落ち込んだ。

最盛期には約190人を数えた従業員は、現在約120人。正社員の解雇はしなかったが、将来不安からか離職者が相次いだ。

今年6月に入ると需要は少しずつ回復基調に乗り、コロナ禍前の5割程度まで戻った。現状の人員で対応できるギリギリの生産体制といい、野原真太郎工場長は「いま、一番欲しいのは人」と話す。ようやく見えてきた明るい光。野原社長は「コロナ対策をしつつ、経済を動かしてもらいたい」と注文する。

コロナと共生しながら、地域経済の早期回復につながる有効な出口戦略を求めている。



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