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参院選茨城 畜産農家、長引く苦境 コロナ禍に飼料高 経営直撃

畜産業の窮状を訴える渋沢誠社長=筑西市関本分中
畜産業の窮状を訴える渋沢誠社長=筑西市関本分中


茨城県筑西市関本分中で県銘柄牛「常陸牛」を肥育する渋沢畜産。「新型コロナウイルス禍が何とかなってきたと思ったら、今度は飼料高だ」。渋沢誠社長(69)は嘆く。

感染拡大が始まった2020年春。外食需要が低迷し、畜産業に暗い影を落とした。

農林水産省の畜産物流通統計によると、東京市場で取引された和牛枝肉の卸売価格は、最上位のA5ランク(去勢)で、同年1月に1キロ当たり2681円だったが、4月に2027円まで下降した。前年同月比で約26%減の大幅な落ち込みだった。

その後、価格は持ち直しつつあった。1年ほど前、再び暗雲が垂れこめた。コロナワクチン普及に伴う経済回復への期待を背景に、原油価格が上昇。トウモロコシなど原料を海外から輸入する配合飼料の価格は、輸送費上昇のあおりを受けた。

ロシアのウクライナ侵攻や円安も重なり、飼料価格は一気に高騰。1年で約1.5倍に値上がりした。渋沢社長は「もっと上がるかもしれない」と語り、国による支援の必要性を訴える。

これまでも苦境に立たされたことはあった。オイルショックや口蹄疫(こうていえき)、牛海綿状脳症(BSE)-。「今回も大きな問題。世界的な動きなので長く続くだろう」と危機感を口にする。

経営環境が厳しさを増す中、収益力強化に欠かせないのが販路拡大だ。

県常陸牛振興協会は、インバウンド(訪日客)需要が戻らない中、量販店やホテルへの浸透などの内需に加え、輸出に注力する。

本年度の輸出量の目標は前年度比35%増の15トン。シンガポールやベトナム、米国、カナダを中心に新たな販路を探る。

こうした輸出拡大の動きを国も後押しする。

5月に改正農林水産物・食品輸出促進法が成立し、政府は今後、生産から販売まで関係者が連携して輸出拡大に取り組む「品目団体」を認定する。

同協会の担当者は「(各地で)和牛を海外に売り込む動きはある。国に交通整理してもらい、輸出拡大につなげてほしい」と話す。

「相場を上げるためには、販路を広げるしかない」と渋沢社長。輸出拡大に寄せる期待は大きい。



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