参院選茨城選挙区 堂込氏初当選 立・国・連合一丸「生活苦救う」
新人8人が争った参院選茨城選挙区(改選数2)は、自民党の加藤明良氏(54)が盤石の組織力で圧倒し、初当選を果たした。無所属の堂込麻紀子氏(46)=立憲民主党、国民民主党推薦=も、自民と旧民主党系で分け合ってきた「指定席」の一つを堅持した。6人は及ばなかった。
水戸市梅香の県労働福祉会館大会議室に設けられた無所属の堂込氏の祝勝会場に午後9時40分ごろ、「当選確実」の一報が届くと、張り詰めていた緊張感が一転、大きな歓声に包まれた。
連合茨城と立憲民主、国民民主両党の2党1団体が結束した選挙戦。24年間にわたり郡司彰氏(72)が守り抜いてきた「労働界の議席」は、小売業で労組役員を担ってきた新人の堂込氏がしっかりバトンを引き継いだ。
歓声がやまない中、堂込氏は会場に姿を見せると、喜びの声や拍手に迎えられながら一人一人とグータッチ。駆け付けた連合茨城の内山裕会長や郡司氏、立民県連の青山大人代表、国民県連の浅野哲代表らと万歳三唱し、喜びを共に分かち合った。
「生活者の視点」を訴えてきた堂込氏は「いただいた力や初心を忘れず、生活に苦しむ方を救うための取り組みを進めていきたい」とあいさつ。内山会長は「(立民、国民)両党がさまざまな思いをのみ込んでいただき、2党1団体という形で戦うことができた」と感謝の思いを語った。
両党県連幹部も駆け付け、当選を祝うとともに、今後の活躍を期待しエールを送った。青山代表は「今回の結果が、野党の大きな固まりをつくるきっかけになるよう頑張ってほしい」と激励。浅野代表も「これからの野党、日本の政治を前進させるため共に歩みたい」と背中を押した。
両党からの推薦を受けた半面、無所属としての出馬は激戦の要因の一つとなった。政治経験のない新人としての知名度不足を補うため、両党幹部が相次ぎ県内入りし、堂込氏を支えた。公示日には、連合の芳野友子会長も出陣式に駆け付け、結束を後押しした。
「非常に厳しい選挙。堂込陣営が、最も他陣営からの切り崩しにあっている」。選挙期間中、陣営は「2議席目」の激戦を想定し、連合茨城の構成組織を中心に引き締めに注力。特に、これまで自民党と旧民主党系が分け合ってきた「指定席」のイメージを打ち消し、油断の払拭に努めてきた。
連合茨城加盟の組合員は約13万5千人。内山会長は水戸市や土浦市で開かれた集会などで、「組織内で投票行動のフォローのため、声をかけ合ってほしい」と各産別や単組に呼びかけ、票固めを徹底。両党も国会議員を中心に、県内各地の支持者らを堂込氏と共に巡り、支援を訴えた。
無所属ながら2党1団体の組織的な選挙で、最重要課題だった「労働界の議席死守」を果たし、安堵(あんど)の表情を見せる堂込氏。今後について、堂込氏は「当面の間は、無所属として活動していきたい」と意欲を見せた。郡司氏から「今日が始まり。これからも応援していく」と言葉をかけられると、緊張した面持ちでうなずいた。