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茨城・日立で平和展 戦争被害、後世に伝える 吉田正氏の抑留も紹介

吉田正氏の抑留体験などを紹介する日立市平和展=同市幸町
吉田正氏の抑留体験などを紹介する日立市平和展=同市幸町


戦後77年の夏、茨城県日立市の「平和展」が2日、同市幸町の日立シビックセンターで始まった。同市は太平洋戦争末期、米軍による3度にわたる空襲や艦砲射撃を受けて県内で最も大きな被害が出た。被害を伝える写真や資料約100点が並ぶ。今回は同市出身の作曲家で、シベリア抑留体験がある吉田正氏の展示コーナーを設置し、当時の関係資料などを紹介している。15日まで。

平和展は、1985年に市が「核兵器廃絶・平和都市宣言」をしたことを機に翌86年から始まり、今年で36回目となる。

軍需工場が多かった同市は米軍の標的となり、終戦間近の45年6月から7月にかけ、1トン爆弾や焼夷(しょうい)弾による空襲、艦砲射撃を3回にわたって受け、計1500人以上が犠牲となった。市内の7割が破壊され、建物被害と死者・行方不明者は県全体の4割前後を占める。

会場には、大甕駅で出征兵士を見送る人たち、工場での動員学徒の実習風景、空襲でできたクレーター群、攻撃で骨組みがひしゃげた工場などの写真を展示。戦死した兵士の遺品の軍靴、艦砲射撃の破片などの実物資料も並ぶ。

吉田氏のコーナーは、自叙伝からの抜粋と、シベリア抑留生活に関するレプリカ資料を展示。収容所で暮らす間も、樹皮や袋の切れ端に歌詞を書き続けた日々を、本人は「歌を作ることが、私の生きているあかしだった」と記している。

会場には、子どもにも分かりやすいように解説パネルを置き、市内の被災図を示す。来場者が平和メッセージを記入できる場所も用意し、14日午後0時半からは戦争体験者による展示案内を行う。

市文化・国際課は「戦争体験者が数少なくなる中、特に若い世代には日立市が大きな被害を受けたことを知り、改めて平和について考える機会にしてほしい」としている。

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