茨城・かすみがうらで鳥インフル 養鶏場、104万羽処分
茨城県は4日、かすみがうら市の養鶏場で飼育する鶏から高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が確認されたと発表した。感染が疑われるとして、遺伝子検査していた。県は飼育されている鶏約104万羽の殺処分を始めた。近隣の養鶏場には鶏の移動や卵の搬出を制限する。今季、国内の養鶏場で鳥インフルが確認されたのは、岡山、北海道、香川に続いて4例目で、関東では初めて。
養鶏場は県内最大規模。出荷していたのは、食用卵や採卵の役割を終えた食肉用の鶏で、県は他の農場への2次的な感染の可能性は低いとしている。
3日、養鶏場の管理者から「死亡鶏が増えている」と県南家畜保健衛生所に通報があった。県の簡易検査で、全13羽の陽性が判明。4日に県の遺伝子検査で、感染が確認された。1日に47羽、2日に98羽が死んでおり、国が派遣した疫学調査チームが感染経路などを調べている。県は自衛隊に災害派遣を要請し、同農場の鶏104万羽の殺処分を始めた。県や市の職員を含む210人態勢で、処分完了まで7日程度を見込む。
養鶏場から半径3キロ圏内にある石岡市の農場2カ所については、飼育されている計約99万羽の鶏や卵の移動搬出を制限。半径10キロ圏内にある土浦、かすみがうら、石岡、小美玉の4市の25農場には、計約41万羽の鶏などの10キロ圏外への移動を制限した。
感染が確認された養鶏場に出入りする車両は噴霧器で消毒する。消毒地点を近くの公園2カ所に設置、主要道路付近に3カ所設ける。環境省は周辺半径10キロ圏内を「野鳥監視重点区域」に指定した。
大井川和彦知事は、藤木真也農林水産政務官と県庁で会談し、連携して防疫措置を図ることを確認した。約104万羽の殺処分を巡り、大井川知事は「自治体だけでは回らない。大規模経営が増える中、仕組み自体を見直す時期」と指摘。藤木氏は「まん延防止は初動が大事。国としても全力で支える」と答えた。
茨城県は、鶏卵の産出額、採卵鶏の飼育羽数がともに全国1位。
鳥インフルエンザウイルスは、高病原性に感染した鳥は高い確率で死ぬ。国内では、肉や卵を食べて人に感染した事例は確認されていない。