イチジク
木々の葉が色づく頃、露地物のイチジクがぷっくりと大きく育ちます。子供の頃、イチジクにできた穴にアリが2~3匹出入りしたら食べ頃のサイン、と毎日観察した思い出があります。日本の風土に溶け込んだ果物の一つで、江戸前期にポルトガル人によって伝えられたため、南蛮柿とも呼ばれます。
イチジクは鉄分、カリウム、カルシウムなどのミネラルを含み、食物繊維のペクチンが豊富で、便秘解消に役立ちます。また、イチジクの切り口から出る白い乳液は、フィシンというたんぱく質分解酵素を含むので、肉食後に最適なデザートといえます。しかし、生のイチジクをゼラチンゼリーに加えると酵素が働き、固まりにくくなりますので注意が必要です。
酸味が控えめで優しい甘さが魅力的な生食のほか、長期保存ができるように天日で乾燥したドライイチジクや砂糖で煮たコンポート、ジャムなどにすると料理の幅が広がり食卓が豊かになるでしょう。