茨城県の実証事業本格化 ICT活用 マサバ養殖 那珂湊漁港 海洋高と連携

マサバの養殖が始まったいけすで、研修する県立海洋高の生徒ら=ひたちなか市和田町の那珂湊漁港
マサバの養殖が始まったいけすで、研修する県立海洋高の生徒ら=ひたちなか市和田町の那珂湊漁港
茨城県が情報通信技術(ICT)を活用し、マサバを養殖する実証事業が本格的に始まった。那珂湊漁港(ひたちなか市和田町)の海面に設けたいけすで稚魚1万匹を飼育。県立海洋高と連携し、現場の巡回や給餌用人工知能(AI)を学習させるのは同校生徒らが担う。寄生虫アニサキスを心配せず生で食べられるマサバの養殖を成功させ、茨城県水産業の成長につなげたい考え。

事業では、AI給餌機で自動的にマサバに餌をやるほか、ICTを活用してセンサーで水温や塩分濃度、溶存酸素を観察するなど、作業効率の向上や省力化を図る。

いけすは漁港内の海面に4面設置。稚魚の大きさや数をそれぞれ変えることで適正密度などを分析し、最適な環境を構築する。

県ではこれまで海面養殖の成功事例がないとする。県水産振興課の川野辺誠課長は「まず成功事例をつくる。茨城県の養殖産業の最初の一歩にしたい」として、マサバの養殖を事業化したい考え。

養殖は気象や天然資源に左右されにくい。今年3月には冷蔵倉庫大手の横浜冷凍(横浜市)と養殖産業の創出に向けた連携協定を締結。来年秋ごろには同社を通じて出荷する予定。

海洋高の生徒は、水中カメラの映像をタブレット端末などで確認し、餌を食べる魚の様子を観察しながら、適正な給餌の量や時間の間隔をAIに学ばせる。水中カメラの清掃や現場で異常が発生した場合の担当者への連絡、魚が死んだ場合の回収なども行う。

担当するのは同校水産クラブの生徒。14、15の両日に校内や現場で研修会を行い、理解を深めた。いけすは同校から徒歩5分程度で、主にクラブ活動の時間に作業する。海洋技術課3年の打越玲音部長(18)は「マサバは水槽では飼えない回遊魚。初めて飼育するのでわくわくしている」と話す。マグロ養殖などを手がける会社への就職が決まっており、「経験を積んで仕事にも生かしたい」と意気込む。

同校ではこれまで、養殖については授業で触れる程度。前田浩一校長は「実習を含め、カリキュラムに組み込みたい」と期待を寄せる。

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