《解説》茨城県議選 「逆風」の自民 耐え忍ぶ
11日投開票の茨城県議選(定数62)は、各党が来春の統一地方選の前哨戦として位置付けて激戦を展開し、新たな県議が決まった。
最大会派の自民党は35議席で、公認候補45人のうち県連幹事長を含む現職10人が落選したが、少なくとも当選した無所属候補8人が保守系の新人で、今後の会派入りを考慮すれば自民は勢力を維持する。旧統一教会問題や相次ぐ閣僚辞任などの「逆風」を耐え忍び、最小限の影響にとどめたといえる。
ある自民県連幹部は「県議選は政党選挙ではない」と話す。今回「保守分裂」の選挙区が目立った。特に補選による当選1回の現職が軒並み落選した。
非自民の改選前勢力は、党勢拡大を狙った立憲民主党は2議席維持にとどまった。国民民主は労組の牙城である日立市区の「伝統の2議席」などを死守。公明も4議席を維持。共産は1減し、1議席となった。
美浦村・阿見町区では立民新人が自民ベテランに迫る健闘を見せた。衆院3区選出の葉梨康弘前法相の辞任など、地元選挙区での自民への「逆風」があったのは事実だ。
県政に新たな地歩を築いた党派もある。今夏の参院選で県内野党第1党となった日本維新の会が牛久市区で、地域政党「つくば・市民ネットワーク」がつくば市区で初めて1議席をぞれぞれ獲得した。
今後4年間の顔触れは決まった。自民は役員人事を含め、いかに新体制を築くのか。二元代表制の一翼を担う県議会の最大会派として、大井川和彦知事との距離感をどのように測っていくのか、今後の県政の大きな焦点となる。
投票率は4割を切り、過去最低を更新した。新型コロナウイルス感染拡大や物価高騰の影響を受けた社会経済の再生など喫緊の課題が山積する中、議論は低調。東海第2原発再稼働問題も地元東海村区以外には広がりを欠いた。新県議は、県民との距離をどのように感じているだろう。新たな県議には重い責任を胸に、県民の声に真摯(しんし)に向き合う県政運営に期待したい。