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《連載:23年統一地方選 茨城県日立市の課題》(下)駅前の地盤沈下防げ 街の顔 集客増へ環境整備

改修工事が進む日立駅前大型商業施設「ヒタチエ」=日立市幸町
改修工事が進む日立駅前大型商業施設「ヒタチエ」=日立市幸町


5階建て施設が足場で覆われ、外壁塗り替えなどの改修工事が進む。

2022年1月にイトーヨーカドー日立店が撤退したJR日立駅前の大型商業施設。この間、地下1階から3階は空床になっていたが、今月28日に「ヒタチエ」としてリニューアルオープンする。

後継のメイン店舗として1階では生活雑貨の「無印良品」が約2640平方メートルを展開し、地下1階には食品スーパーの「いばらきコープ」が入居。それぞれ茨城県内店舗では最大の売り場面積で、両社とも県北地域は初出店となる。

「駅前の地盤沈下につながりかねない」-

ヨーカドー閉店の方針決定直後から、危機感を強めた市は、買い物環境の維持や駅前のにぎわい創出のため後継テナントの誘致に注力。出店に関わる手厚い補助制度も設け、事業者を募ってきた。

結果、飲食関連は4月までに準備が間に合わず7月にオープンがずれ込むものの、空床は解消される見通し。市は「市内全域から幅広く集客できるかがこれまでの反省点」として、周辺駐車場や公共交通の環境整備を急ぐ。

■市がオーナーに
市は昨年、同施設の土地・建物を9億5千万円で取得した。本館と、隣接する別館(7階建て)、立体駐車場の3棟で、施設のオーナーとなる。

当時物件を所有していた三菱UFJ信託銀行から譲渡の打診を受けたのは昨年2月。「市の玄関口で街の顔とも言える存在。将来にわたってまちづくりを主導するため」と購入に踏み切った。

一帯はもともと市が昭和後期に手がけた駅前開発エリアで、日本鉱業(当時)が荷役所だった用地を「まちのためなら」と市に提供。三井不動産とイトーヨーカ堂が事業化し、1991年にイトーヨーカドーが誕生した。一体整備したパティオモール商店街に市が地元事業者を誘導した経緯もあった。

施設の取得判断を巡っては、市議会でも意見が交錯。閉店から8カ月で再開のめどを立てた点を評価し「重要な取り組み」との声が上がった一方で、多額の投資や運営コスト面の懸念から「リスクが大きい」との指摘も出た。

■商店街へ波及を
改装開店後は、同施設の集客効果を、日立駅から国道6号方面まで約1キロにわたって延びる周辺商店街へ波及させることも課題になる。

近年は郊外型店舗やネット販売の台頭によって駅前立地は苦戦。イトーヨーカドーだけではなく商店街も、高齢化や後継者不足などで閉店が続いてきた。

パティオモールから銀座モールまでの三つの商店街にはかつて約300店舗が軒を連ねたが、現在は3分の1ほどまで減少。老朽化や空き店舗も目立つ。

「大型施設のリニューアルが決まって終わりじゃない」。商店街関係者は「今後は、この一帯が連携して人を呼び込んでいく仕掛けが必要になる」と話す。



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