《解説》水戸市長選 人口減対策 迫る分岐点
前々回の2015年と同じ顔触れの対決となった23日開票の水戸市長選は、現職の高橋靖氏が堅固な支持をまとめて4選した。高橋氏は政党の公認を得ずに選挙戦を展開したが、衆・参議院議員、県議、市議に加え、周辺自治体や県南地域の市議らも応援として弁舌を振るい、幅広いつながりをアピール。12年間の市政での実績を強調し、終始安定した戦いを進めた。
高橋氏が初当選した11年以降は共産系候補との一騎打ちが続いている。しかし、対抗馬は人選が難航。今回も告示直前での出馬表明となり、主張は浸透し切れなかった。
市の人口は近年、減少傾向に入った。茨城県つくば市との差は年々接近し、人口数トップの地位を数年以内に明け渡すこととなる。対策として「最優先」と高橋氏が位置付けた子育て支援策は、周辺自治体も頭を抱える共通課題で、あの手この手で政策を打ち出す。他自治体との競争から抜きんでるには、ハードルは高い。
新市民会館やJR水戸駅周辺、市街地でのマンション建設などハード面の環境づくりは進んでいる。ではソフト面はどうか。新市民会館で一例を挙げるなら、12月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の大臣会合の会場になるといった実績を国内外に周知する機会として生かし切れるか。強い発信力と、それを支える独自性が必要だ。
人口は回復するのか、減少が続くのか。県都としての存在感を維持する分岐点が迫っている。