梅干し


今年も梅干しを仕込む時期になりました。今月は、食文化を語る上で大切な梅干しを使った料理をご紹介します。
梅干しの最も古い記録によると、平安時代中期ごろ、村上天皇が病の折に梅干しと昆布入りのお茶で回復したとの記述があります。茨城においても徳川斉昭公が観賞用と実用を兼ねて梅の栽培を奨励したことにより、習慣として梅干しを備えました。生活の知恵から生まれたことわざに「梅はその日の難逃れ」や「梅は三毒を断つ」があります。
梅干しの特徴はやはり自然と唾液が出てくる酸味です。この酸味はクエン酸で、唾液の分泌を促して胃腸の働きを良くします。さらにカルシウムなどのミネラルが体内で吸収されやすくなります。食中毒の原因となる細菌の増殖を抑えるなど、体や生活に役立つ救世主です。苦手な方は料理に加えると酸味がまろやかになり、素材のうまみが溶け合い食べやすくなります。健康と食文化を守るためにも、梅干しを食卓に出してはいかがでしょうか。