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基腐病 防除へ順守事項 全国初 茨城県がサツマイモ農家に 計画策定 家庭菜園も対象

サツマイモ基腐病にかかり色が赤く変わった葉(下)茎は黒っぽく変色し、しおれる(県提供)
サツマイモ基腐病にかかり色が赤く変わった葉(下)茎は黒っぽく変色し、しおれる(県提供)
サツマイモ基腐病になると、茎が黒っぽくなり、しおれる症状が出る(県提供)
サツマイモ基腐病になると、茎が黒っぽくなり、しおれる症状が出る(県提供)


茨城県はサツマイモ基腐(もとぐされ)病のまん延防止のため、生産者に定めた順守事項を柱とする「県総合防除計画」を策定した。サツマイモの同県産出額は全国1位で、まん延すれば大きな打撃となるため、防除の徹底を農家に求める。全国で初めて。基腐病が発生した畑は原則2年間、サツマイモを作付けできず、種芋を採取できない。家庭菜園も含む。順守しない場合、罰則もある。計画では140種超の病害虫について、化学農薬だけに依存しない防除方法を示している。

同防除計画は、4月に施行された改正植物防疫法に基づき、策定した。

サツマイモ基腐病は、カビの一種が原因となる。感染すると、根が黒っぽく変色したり、茎が腐って葉が枯れたりする。症状が出ない場合もあるという。県農業技術課は「高温多湿の条件がそろい、病気が広がり始めると、抑え込むのは困難」と警戒する。

順守事項は5本柱で、①県のまん延防止調査に協力する②発生した場合は関係機関の指導の下、発生株を抜き取り、畑の外へ出す③発生した畑では2年間、サツマイモを作付けしない④発生の畑から種芋を採取しない⑤拡大がないことを確認する-としている。適切な処置を取らない場合、改正植物防疫法の規定により、30万円以下の過料となる場合もある。

サツマイモ基腐病を巡っては、2018年に沖縄県や鹿児島県でまん延し、被害が出た。そのため県は病原菌に感染していないことを証明する「ウイルスフリー苗」の使用推進や苗の消毒を啓発するなど予防に力を注いできた。

県内では21、22年に計3件確認されたものの、発生株のある畑の苗を全て抜き取るなど、早めに対処し、まん延を防いできた。

県は荒廃農地の利用促進事業を展開し、サツマイモの作付面積は年々増えている。22年は7500ヘクタールで、鹿児島に次いで全国2位。21年の産出額は331億円で全国1位だった。

県農業技術課の米山一海課長補佐は「これまで築き上げたサツマイモ産地の地位を守り、さらに発展するために順守事項は必要。家庭菜園で栽培する人も含めて理解してほしい」と協力を求める。県総合防除計画は、サツマイモのほか、イチゴやピーマンなど計35品目・145種の病害虫について、化学農薬だけに頼らない防除方法や発生時の対策を示している。

改正植物防疫法の施行に伴い、都道府県は地域の実情に合わせた総合防除計画の策定を進めている。茨城の策定は香川、岩手に続き全国で3例目。計画の策定に当たっては、農業者の順守事項を定めることができる。



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