日本画の最高峰65点 茨城県五浦美術館 4年ぶり、院展巡回展が開幕

日本美術院の「再興第107回院展茨城五浦展」が23日、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開幕した。日本画の最高峰ともいえる「院展」の巡回展として隔年で開催されていたが、館内の改修などを経て4年ぶりに開かれた。第107回院展(昨秋、東京・上野)の出品作から、同人や受賞作家、茨城県ゆかりの作家を含む65点が紹介されている。
日本美術院は1898年、岡倉天心らを中心として創立。1906年に研究所が東京谷中から五浦に移された。天心没後、横山大観らにより再興され、日本画壇の一翼を担ってきた。
茨城県関連では、代表理事の那波多目功一さん(ひたちなか市出身、東京都)がワシの荘厳な羽ばたきを描いた「雄姿」を筆頭に、同人の倉島重友さん(龍ケ崎市)の「白い街」といった重厚な作品が並べられている。第28回天心記念茨城賞に輝いた仲裕行さん(同市)の「日出ずる国へ」や、日本美術院賞を受けた守みどりさん(水戸市)の「玄鳥(つばめ)至(きたる)」など、存在感を増す若手の作品も紹介されている。
開幕前日の22日、関係者約60人が出席してセレモニーが行われた。那波多目さんは「院展の作家は、花の香りや美しい音色など、目に見えないが、確実にそこに存在するものを描こうと全力を注いでいる。展示作品に込められた夢や希望、命の輝きなどを感じていただければ」と話し、来場を呼びかけた。
会期は7月17日まで。問い合わせは同館(電)0293(46)5311。