伝統工芸、未来へつなぐ 茨城県陶芸美術館で企画展 人間国宝、新進作家一堂に

歴代の人間国宝の名品から新進作家の最新作まで、優れた陶芸作品を一堂に展示する「未来へつなぐ陶芸-伝統工芸のチカラ展」が8日、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で始まった。茨城県の松井康成氏(1927~2003年)を含む人間国宝の陶芸家35人全員の作品をはじめ、さまざまな名品が紹介されており、連綿と受け継がれる技や美意識、国内の陶芸の伝統と発展を一望できる。
同展は昨年創立50周年を迎えた日本工芸会陶芸部会の記念巡回展。陶芸家137人の個性あふれる器やつぼ、ふたものなど名品139点を示しながら、陶芸が全国各地の伝統工芸として確立され、発展してきた歴史と、未来へと続く可能性を解説している。
県内作家の作品も展示され、伊藤東彦氏(笠間市)の「布目篠文大鉢(ぬのめしのもんおおはち)」は、布目模様を施した深みのある器に、光を受けて伸びるシノの姿が描かれている。
作家ごとの表現の違いや個性も比較して楽しめるよう工夫された展示もある。望月集氏の「花文大鉢(かもんおおばち)『椿(つばき)』」と米田和氏の「黒描鳥花文鉢(こくびょうちょうかもんばち)」はいずれもツバキを題材とし、独自の表現を探求する陶芸家それぞれの姿勢がうかがえる。
ガラスケースの外に並べられた作品もあり、大作が持つどっしりとした存在感や迫力を感じることができる。
同館の岩井基生主任学芸主事は見どころについて「作品の精度が非常に高い。(陶芸家らは)試行錯誤の上、地域と共に技を極めてきた」とし、各作家と地域との関わりに注目を促した。
会期は8月27日まで、午前9時半から午後5時(入場は午後4時半まで)。月曜休館。