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職人育成「伝統を重視」 石川氏、酒造りの魅力語る 水戸で合同政懇

「酒造りは人づくり」をテーマに講演する石川達也氏=水戸市千波町
「酒造りは人づくり」をテーマに講演する石川達也氏=水戸市千波町


茨城新聞社主催の合同政経懇話会が11日、水戸市千波町の水戸プラザホテルで開かれ、日本酒造杜氏(とうじ)組合連合会長で月の井酒造店(茨城県大洗町)杜氏の石川達也氏が「酒造りは人づくり」をテーマに講演した。職人の育成や酒造りへのこだわりについて触れ、「本当の職人を育てたい。人を育てるためには、伝統を重視することが一番」と語った。

職人の育成について「現代の酒造りはデータや理論が重視され、頭で覚えるようになっている。それらも大事なことだが、職人なので、本当は体で覚え、体で感じ、体で考えなければ」と持論を披露。「お手本を見て、良い動き、良い仕事をイメージしながら反復練習するしかない。遠回りで時間がかかるが、体で覚えるためには時間が必要。それが本当の仕事の覚え方」と解説した。

酒造りで外せない要点として「発酵」を挙げ、「発酵をきっちりさせることを考えている。それが自然な酒」と説明。また、酒の色について「できた酒の色も含めて愛(め)でてほしい。無色じゃないほうが自然。色がないのが良い酒とは思っていない。皆さんもどうか、酒の色に対する偏見をなくしてほしい」と理解を求めた。

さらに近年の新型コロナウイルス感染症の拡大で、酒を提供する飲食店が長期の休業や営業時間短縮を余儀なくされたことにも触れた。「不況は続いているが、酒の持つ本来の役割を果たさなければ、人から切実に必要とされる時は来ないのではないか」とし「酒は必需品だと考えている。嗜好(しこう)品としてのおいしさを追求するのではなく、必需品としての酒を造りたい。その復権を願って酒造りをしている」と語った。

最後に「人に生きる力を与えられるような酒を造りたいと思っている」と強調した。



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