水郡線利用促進へ支援 校外学習は半額、定期券で特典 茨城
JR水郡線の一部運賃の割引や利用者の優遇制度が始まった。茨城県と同県大子町など6市町でつくる「県水郡線利用促進会議」が支援制度を初めて導入した。小中学生が校外学習などで乗車する際は大人も含めて半額になるほか、定期券利用者が沿線協力店で特典を受けられるよう支援し、利用拡大を促す。
運賃が半額になるのは、小中学生が5人以上いる団体(任意団体含む)の校外学習など。小学生以下は通常、大人の半額のところ、さらに半額に引き下げる。同行する大人の運賃も半額にする。今月始めた。
対象は水戸、常陸太田、ひたちなか、常陸大宮、那珂、大子の沿線6市町にある小中学校や自治会、子ども会などの団体。具体的には社会科見学や子ども会行事、自治会の親子活動のほか、部活動の練習試合などを想定している。
区間は県内の水戸-下野宮駅間、上菅谷-常陸太田駅間に限る。期間は本年度末まで。事前の申請と実施後の実績報告を受け、指定口座に補助金として交付する。申請は来年2月29日まで受け付ける。
同会議は本年度、水郡線の定期券利用者を対象とした優遇制度「mikke(みっけ)」も導入した。定期券利用者が同制度のポスターやのぼりを掲げる沿線6市町の協力店で定期券を示すことで、店ごとに定めたサービスが受けられる。
同会議によると、7月現在で参加する協力店は、飲食店や道の駅、宿泊施設など27店舗。具体的には、沿線の「マクドナルド」の一部店舗でドリンクMサイズを100円に割り引くほか、「大子温泉やみぞホテル」は宿泊代の10%引きなどとする。今後も店舗を増やしたい考え。
JR東日本が今月公表した1日1キロ当たりの乗客数を示す2022年度の「平均通過人員(輸送密度)」によると、水郡線は水戸-常陸大宮間が4476人、常陸大宮-大子間が720人で、ともにコロナ禍前の19年度から13%減った。
19年度収支では、常陸大宮-常陸大子駅間の赤字額が12億1千万円、常陸大子-磐城塙駅間は同5億200万円となるなど、厳しい経営状況も明らかとなった。沿線自治体にとっても将来的に路線を守っていくために利用促進は大きな課題だ。
同会議は昨年度、構成自治体やJRの若手職員らでワーキンググループを立ち上げ、利用促進に向けた取り組みについて議論を進めていた。事務局の県交通政策課は「支援制度を機に水郡線の新たな利用客の掘り起こしにつなげたい」としている。