茨城・結城市長選立候補者の横顔(届け出順)
茨城県結城市長選は7月30日告示され、いずれも無所属で、新人の会沢久男氏(73)、新人の大木作次氏(62)、現職の小林栄氏(67)が立候補した。3人の横顔を紹介する。
■会沢久男(あいざわひさお)氏(73) 前市議 無新 結城紬を世界へ発信
市長選は2007年以来2度目の挑戦。「最後のチャンス。まだ気力もあるし、やれる」と力を込める。
約40年、ブドウ栽培に従事。近所や親戚に負担をかける選挙のあり方に疑問を持ち、政治の道に入った。2015年から2期8年市議を務めた。「思ったことはほとんど実現できない」と振り返る。「市長になって思いを実現したい」と立候補を決意した。
市の現状について「いいものがあるのに生かされていない」と嘆く。特に結城紬(つむぎ)への思い入れは強い。子どもの頃、家で蚕を飼い、近所の若い女性が機織りをする様子を見て育った。「観光にも雇用にもなる。これを生かさない手はない」と語気を強める。コートなど、時代に合わせた新商品の開発や、世界への情報発信を掲げた。
小中一貫校の建設や市民文化センター「アクロス」の改修などの大型事業を見据え、財源確保を喫緊の問題として捉える。市職員、議員の定数削減を挙げ、「今しなければいけない」と訴えた。
趣味はカラオケと読書。座右の銘は「不動心」。1人暮らし。上山川。
■大木作次(おおきさくじ)氏(62) 前市議 無新 人口減少食い止める
祖父や父親が市議を務め、小さい頃から市政を身近に感じてきた。「結城生まれ結城育ちで5期20年、議員も経験してきた。結城市のもろもろの事情はほぼ把握している」と話す。「よりよい市政運営ができるものと確信している」と立候補の動機を語った。
他自治体と同様、結城市でも人口減少が進みつつあることに危機感を抱く。「なんとか食い止めたい。地方自治体は人口が減ってしまうと力がなくなってしまう」と懸念する。市外からの転入増を目指し、子育てしやすいまちづくりを掲げる。特に小中学校の給食費の無償化については意欲的で「9年間続く子育て支援だから、ぜひ取り組みたい」と意気込む。
20年前までJA北つくば職員を務め、自身もハクサイやネギ、大根などを育ててきた。農薬や資材の価格高騰を「生産者からすると非常につらい状況」と自分事として実感。「農業は市の基幹産業の一つ。やる気さえあれば稼げる地域」と語り、助成事業など、農業の振興にも意欲を見せる。
趣味はカラオケ、ゴルフ。妻と3人の娘との5人暮らし。下り松。
■小林栄(こばやしさかえ)氏(67) 市長 無現 健康、経済、教育に力
市長に就任したのは2019年。最初の大きな仕事は台風19号の災害対応だった。「市民の命を守るための決断をするのは、重責だなと感じた」と振り返る。
日々決断を求められる中、新小学1年生へのランドセル支給、1、3歳への祝い金、奨学金の拡充などの子育て支援に注力した。まちづくりでは「北関東の鎌倉を目指す」と、寺院や蔵が並ぶ北部市街地の観光拠点化を推進。その中心地として市役所旧庁舎跡地を活用し、歴史ミュージアムと、高齢者や子育て世帯への支援機能を備えた複合施設を整備する方針を決めた。
小中一貫校の建設など道半ばの事業も多く、「市民の幸福と結城市の繁栄のためにもう一期働きたい」と立候補を決意。健康、経済、教育に力を入れようと「新3K」を掲げる。特に教育については「子どもの可能性を引き出したい」と、音楽や文化などの幼児教育を重視。小中一貫校については、自然を生かした体験授業など「今までにないような楽しい学校をつくりたい」と力を込めた。
趣味はゴルフ、山歩き。妻、次女、孫と暮らす。富士見町。