水琴窟、音色再び 茨城・鹿嶋の公園 東日本大震災で被災 地元企業が復元
茨城県鹿嶋市角折の大野潮騒はまなす公園で、水滴の音を空洞内で反響させる庭園装置「水琴窟(すいきんくつ)」が復元され、琴を奏でたような美しい音色を再び響かせている。水琴窟は、日本庭園の最高技法の一つといわれ、同園開園当初から設置されていたが、東日本大震災で土砂が流入するなどし、音が鳴らなくなっていた。復元に携わった地元企業は「地域の癒やしの場にしたい」と話している。
水琴窟は、江戸時代に考案されたと伝えられ、日本庭園の最高技法の一つといわれている。コンクリートなどで固めた土台の上に、底に小さな穴を開けたかめを逆さに伏せて埋め、水をためる構造。上部の穴から水滴が水面に落ちると内部で反響し、琴のような音がする。地中のかめは高さ約50センチ、直径約55センチ。
市などによると、同園の「音のトンネル」内に設置されていたが、2011年の東日本大震災で内部に土砂が流入したり、排水管が壊れたりして、音が鳴らなくなっていたという。
今回の復元は、市内の測量設計業、下川設計(下川典一社長)が創業50周年記念事業の一環として実施。市内の造園業、にわけん(須藤謙代表)が協力。5月末から約2カ月かけて作業が行われた。元々設置してあったかめを再利用し、震災後に被災した箇所を丁寧に修繕するなどし7月末に復元が完了した。
引き渡し式で、下川社長は「思い入れのある公園で、何かできないかという思いがあった。地域の癒やしの場となることを願っている」などと述べ、須藤代表も「一生に一度、できるかできないかの仕事。自然の音を楽しんでほしい」と語った。田口伸一市長は「(復元により)多くの市民、親子連れの利用が見込まれる」と謝意を示した。