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巨大バッタ、修復費募る 茨城・水戸芸術館収蔵品 経年劣化、CFで350万円

登場した巨大バッタの鑑賞や撮影を楽しむ来場者。触覚部分が折れるなどの劣化が生じている=水戸市五軒町
登場した巨大バッタの鑑賞や撮影を楽しむ来場者。触覚部分が折れるなどの劣化が生じている=水戸市五軒町
制作の思いを語る椿昇さん(左から2人目)=水戸市五軒町
制作の思いを語る椿昇さん(左から2人目)=水戸市五軒町


水戸芸術館は、全長50メートルに及ぶ収蔵品の巨大バッタ作品「飛蝗(ばった)(プロジェクト・インセクト・ワールド)」について、経年劣化が見られるとして、修復を目的としたクラウドファンディング(CF)を募っている。目標額は350万円で、期間は10月27日午後11時まで。今月10日は、支援を呼びかけようと茨城県水戸市五軒町の同館で作品を展示し、来場者が迫力に感嘆の声を上げた。

正午ごろ、芝生が広がる同館の広場で作品が膨らまされ、目にした親子連れが記念撮影して楽しんだ。家族と訪れた水戸市の中学生、小林昌平さん(14)は「和やかな雰囲気で親しみが持てる」と喜び、祖父の宏司さん(70)は「作品は写真で知っていたが、実際見てみるとすごい。修復の支援も検討したい」と話した。

同館では、作者の現代美術家、椿昇さんと制作当時を知る同館元学芸員の森司さんらのトークイベントが開かれた。

作品は、椿さんと美学者の室井尚さんが手がけた。2001年の国際展「横浜トリエンナーレ2001」のシンボルとして出展され、02年に同館の収蔵品となった。同館広場だけでなく、カナダのトロントで展示されるなど子どもを中心に注目を集めてきたが、屋外での展示を前提とするため劣化は避けにくく、現在は触覚が前に折れ、色あせや汚れが目立つという。

今回のCFは、修復費として触覚を作り直して立ち上がらせるなど「生命感をみなぎらせる本来の状態を取り戻す」(同館)ことを目指す。寄付はCFサイト「READYFOR」で受け付け、コースは5千円から100万円まで。返礼品として、椿さんのトークイベント優先招待などを用意した。

当初、今月9、10日での公開を予定していたが、9日は大雨の影響のため中止。10日も劣化を警戒して公開は3時間程度となった。CFが成立すれば、来春に修復作業の公開を見込む。

同館現代美術センターの竹久侑芸術監督は「新品にするのではなく、最低限、長く次世代に親しんでもらうためのCF。寄付をお寄せいただければありがたい」と話した。



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