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吃音の若者 カフェ接客 茨城で初開設 つくば主催の奥村さん 「夢を後押し」

吃音の若者が接客する県内初開設の「注文に時間がかかるカフェ」=つくば市竹園
吃音の若者が接客する県内初開設の「注文に時間がかかるカフェ」=つくば市竹園
カフェ主催の奥村安莉沙さん
カフェ主催の奥村安莉沙さん


話し言葉が滑らかに出てこない「吃音(きつおん)」の若者が接客するカフェが21日、茨城県つくば市竹園1丁目の多目的施設「つくばカピオ」で開かれた。自身も吃音がある奥村安莉沙さん(31)=東京都=が全国を巡って開設しており、茨城県では初めて。カフェでは吃音に悩む学生などをスタッフとして募集し、接客に挑戦する夢を後押ししている。

つくばカピオ会議室に同日開設されたのは「注文に時間がかかるカフェ」。予約制で、事前に利用者に吃音やカフェのコンセプトを説明する。スタッフは自分のペースで接客を体験でき、来店者はクイズなどを通して吃音について学ぶことができる。

カフェは2021年から全国各地で不定期に開設。今回は同市で「日本吃音・流ちょう性障害学会」が開かれるのに合わせて開設を決めた。

店内ではこの日、吃音のスタッフ4人が来店者約40人を接客。注文を受けたスタッフが、ゆっくり、丁寧に内容を繰り返す姿が見られた。

スタッフの一人で筑波大1年、中沢仁成さん(19)も吃音に悩んだ。「大学では吃音や合理的配慮などについて研究したい。当事者と交流することで知ってもらえることがあると考えた」と参加の理由を話した。

国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)によると、吃音は話し言葉がすらすらと出てこない発話障害。最初の音を繰り返したり、言葉が出てこなかったりするなど、発話の滑らかさが乱れる話し方とされる。7~8割は成長するに従って自然に治るものの、症状が固定化することもあるという。

カフェを主催する奥村さんは、幼少時に吃音を発症。人と話すことが好きでカフェ店員に憧れていたが、一度は断念した。

きっかけは、25歳で語学留学したオーストラリアで働いたカフェ。店は障害者や英語が苦手で仕事を得にくい移民たちが、社会経験を積む場。そこで感銘を受けたのが、声を出せない男性スタッフが身ぶり手ぶりで楽しそうに接客する姿だった。

奥村さんは「日本でもカフェを開いてみよう」と決心し、21年に東京都内で初めて開設。その翌年に富山県でも実施したところ、吃音の若者から「吃音の集まりが全然ない。仲間と会ったのはこれが初めて」との訴えを聞いた。交流の機会が都心と地方とでは大きなギャップがあることに気付かされ、その後は全国各地を積極的に回るようにしたという。

同カフェ開設の依頼はホームページから受け付けており、スタッフは随時募集中だ。

奥村さんは「1県でも多く開設して、吃音を知らない人に理解を広めたい」と望む。これまで開催したのは19都道府県に上るが、「まだまだ行けていない場所がたくさんある。地方で一人で悩んでいる人にも参加してほしい」と話した。

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