霞ケ浦の古墳解説 指定史跡の出土品展示 茨城・土浦の考古資料館
茨城県土浦市の霞ケ浦湖畔にある古墳時代前期(3世紀後半~4世紀)の古墳を紹介する企画展「霞ケ浦に臨む王」が、同市上高津の考古資料館「上高津貝塚ふるさと歴史の広場」で開かれている。筑波大と合同で発掘調査した市指定史跡「王塚古墳」「后(きさき)塚古墳」の出土品が並ぶほか、周辺自治体の古墳の姿から、同時期の首長(王)とそれを支えた姿を解説する。会期は12月3日まで。
同館によると、王塚古墳は同市手野町にある前方後円墳で、近隣の前方後方墳の后塚古墳とともに2018年度から4年かけて発掘調査した。丸底鉢や壺型(つぼがた)埴輪(はにわ)の破片、鉄鏃(てつぞく)などが出土した。出土品から両古墳が築造されたのが古墳時代前期と推定され、王塚古墳は長さ83メートルと、この時期としては霞ケ浦周辺で最大級と分かった。
ただ、両古墳から埋葬施設は見つからなかった。このため、同時期の周辺の古墳から出土した鏡や鉄剣、勾玉(まがたま)といった副葬品をはじめ、底部穿孔(せんこう)壺、土師(はじ)器の高杯(たかつき)などの土器を展示し、この時代の古墳の様子を類推できるようにした。
同館の田辺えり学芸員は「副葬品から、大和政権とのつながりや首長の姿が推測できる。他地域と交流して古墳や土器が画一化されていく経過や、霞ケ浦が水運で栄えた様子を感じてほしい」と話した。
展示に関連し、今回の発掘調査に当たった筑波大の滝沢誠教授などを講師に招く記念シンポジウムが11月23日、クラフトシビックホール土浦で開かれる。先着200人。問い合わせは同館(電)029(826)7111。