2023年秋の叙勲受章者が3日付で発表された。茨城県内関係者は、旭日章が24人、瑞宝章が77人の計101人。この中から3人に喜びの声を聞いた。

■旭日重光章　元参院議員　岡田広さん(76)　水戸　地域のご用聞き貫く　

政界に身を置いた36年間、「地域のご用聞き」を貫き、1軒ずつ丁寧に地元を歩き住民の声を直接、拾い上げてきた。受章の吉報に「支えてくれた支援者や家族がいたからこそ」と、感謝の思いを語る。

1986年の県議選で初当選し政治家に。その後、県議を2期、93年から水戸市長を3期務めた。2003年の参院補欠選挙で国政へと活動の場を移し、昨年の政界引退まで4期19年、2年間を除き無派閥で通した。

尽力してきた新国立公文書館の建設は、自身が政治家になる前に秘書を務めた岩上二郎参院議員が必要性を訴えてきた悲願。計画の実現に「岩上先生も喜んでいるはず」と、亡き恩師に思いを巡らす。22年の政界引退後は、後進育成に力を注ぐ。支援を受けた団体からの講演依頼も積極的に応じ、図書館に通いながら「ご恩返し」を続ける。

■旭日中綬章　日本電子会長兼取締役会議長　栗原権右衛門さん(75)　土浦　日本の産業振興貢献　

電子顕微鏡の世界トップシェアを誇る日本電子を引っ張り、日本の産業振興に貢献した。「身に余る光栄。多くの人の指導と支援のおかげ」と感謝する。

土浦市生まれ。1971年に日本電子に入社。取締役、副社長などを経て2008年6月に社長に就任。就任時はリーマンショックに端を発した世界不況の影響で苦しい時代だったが、経営改革に取り組み、業績を改善させ危機を乗り越えた。「厳しい時期があったからこそ、会社を良い方向へ変えることができた」と振り返る。19年からは会長を務め、分析機器の改善・高度化に取り組む日本分析機器工業会長も歴任した。

1995年からは地元土浦市で暮らす。「今後は、これまでお世話になった人たちとの交流を続けながら、分析機器や国の産業の発展を陰ながら支援できれば」と語る。

■旭日小綬章　県中小企業団体中央会長　阿部真也さん(74)　水戸　経営安定に向け提案　

県中小企業団体中央会に加盟する県内約2万社の経営安定化に向け、事務手続きや支援策の提案を行っている。「中小企業は存続をかけて日々戦っている。少しでも役に立てれば」と力を込める。

自動車部品の製造などを手がける日東電気(茨城町)を経営し、中小企業のかじ取りの難しさは身に染みている。先代の父・吉之助氏は、年頭に「今年は気を付けないと」と繰り返したという。「順風満帆な日は一度もなく、張り詰めたあいさつしか聞いていない。今まで続けられたのは社員の努力のおかげ」と振り返る。

コロナ禍で中小企業の逆風は増した。「先が見えない時代だが残れればいい。個人も組織も諦めずに立ち上がってほしい」

受章は「身に余る」と謙虚に語る。「恥じぬよう今後も社会を支えたい」


■秋の叙勲　茨城県内受章者

▽旭日重光章(1人)
岡田広　76　元内閣府副大臣　水戸

▽瑞宝重光章(1人)
佐々木卓治　76　元農業生物資源研究所ゲノム研究グループ長　つくば

▽旭日中綬章(1人)
栗原権右衛門　75　日本電子会長兼取締役会議長　土浦

▽瑞宝中綬章(6人)
江田弘　81　茨城大名誉教授　笠間
大橋弘三郎　80　茨城大名誉教授　水戸
田切美智雄　78　茨城大名誉教授　水戸
西川和広　70　元国土技術政策総合研究所長　つくば
藤田禎三　78　福島県立医科大名誉教授　つくば
茂木健司　81　群馬大名誉教授　ひたちなか

▽旭日小綬章(5人)
阿部真也　74　県中小企業団体中央会長　水戸
海野徹　74　元那珂市長　那珂
川又照雄　74　元常陸太田市議　常陸太田
黒沢義久　76　元常陸太田市議　常陸太田
福地源一郎　75　元県議　日立

▽瑞宝小綬章(19人)
飯村和良　71　元中国四国農政局経営・事業支援部長　つくば
宇都宮啓史　71　元国交省住宅局市街地建築課長　守谷
大崎正昭　78　元県西地方総合事務所長　城里
岡野満　73　元公立高校長　つくば
小沼均　75　元県議会事務局長　水戸
金子純一　70　元国土地理院企画部地理空間情報国際標準分析官　つくば
熊倉浩明　71　元物質・材料研究機構超伝導材料研究センター長　つくば
小出正則　70　元国土地理院参事官　守谷
鴻田利雄　72　元県会計管理者　土浦
小林幹男　74　産総研資源環境技術総合研究所素材資源部長　つくば
佐藤政哉　71　元参院参事　牛久
富田浩祥　80　元新潟労基局長　つくば
西山功　70　元国土技術政策総合研究所建築研究部長　つくば
根本聡　70　元公立高校長　常陸太田
羽田肇　71　元物質・材料研究機構物質研究所電子セラミックスグループディレクター　土浦
原篤範　70　元公立高校長　筑西
播摩文明　70　元千葉東税務署長　つくば
本谷正一　70　元稲敷地方広域市町村圏事務組合消防正監　　龍ケ崎
丸山弘通　70　元国土地理院地理調査部長　つくば

▽旭日双光章(11人)
相田一良　75　元桜川市議　桜川
猪瀬清次　74　元県造園建設業協会長　水戸
内田勉　70　元県労委委員　下妻
川島房宣　75　元土浦市医師会長　かすみがうら
佐野治　76　元県農業協同組合中央会代表理事会長　土浦
杉本俊一　73　元潮来市議　潮来
曽雌哲雄　80　県交通安全協会長　結城
大藤博文　72　県建設業協会副会長　水戸
高野正巳　77　県食品衛生協会副会長　水戸
埜口正雄　74　元稲敷市議　稲敷
野原達男　72　元結城市公平委員長　結城

▽瑞宝双光章(25人)
飯島芳美　71　元公立小校長　鹿嶋
飯塚裕治　70　元公立高等特別支援学校長　ひたちなか
五十嵐章　74　元工業技術院総務部筑波研究支援総合事務所次長　つくば
伊藤一司　72　元公立小校長　牛久
植竹純子　81　元学校医　常総
大山隆雄　71　元公立中校長　かすみがうら
小城原博光　73　元総務省人事・恩給局恩給業務課支給管理室長　つくば
菊池潔　76　元「ナザレ園」施設長　那珂
小林香津子　66　元古河赤十字病院看護部看護部長　稲敷
桜井武　69　元参院参事　利根
佐藤浩一　70　元日本郵政公社職員　笠間
志賀一順　87　元警察庁技官　牛久
鈴木章二　74　元公立中校長　古河
鈴木正良　74　元関東地方整備局主任監査官　古河
須知毅　88　元新宿労基署長　五霞
高橋利春　76　元水戸医療センター診療放射線技師長　水戸
高橋文也　71　元公立中校長　坂東
長谷川衛孝　73　保護司　古河
東小川昌夫　71　元公立中校長　水戸
福田敦子　77　元公立小校長　龍ケ崎
星秀男　71　元公立小校長　日立
本間満子　75　元龍ケ崎済生会病院看護部看護部長　土浦
松浦勇一　73　元外務省大臣官房情報通信課長補佐　利根
村塚好一　71　元稲敷市消防団長　稲敷
湯沢芳雄　83　元筑波技術短大事務部長　つくば

▽旭日単光章(6人)
青宿昌夫　81　元羽賀沼土地改良区理事長　稲敷
大竹伸一　77　元県水質保全協会副理事長　水戸
中嶋道三　83　元八郷土地改良区理事長　石岡
永田良夫　70　元ナガタフーズ社長　笠間
松本光栄　81　元ひたちなか市上高場自治会長　ひたちなか
渡辺正三　84　県銃剣道連盟副会長　那珂

▽瑞宝単光章(26人)
相川三保子　75　元筑波大付属病院看護部副看護部長　つくば
浅川徳男　86　元高萩市消防団分団長　高萩
糸賀国男　75　糸賀タイル代表　龍ケ崎
大森昌作　87　元大子町消防団分団長　大子
大森紀行　83　元北茨城市消防団分団長　北茨城
河井照夫　73　元日立市消防団副団長　日立
川野辺弘純　71　元水戸市消防団分団長　水戸
倉持政男　74　元常総市消防団副団長　常総
斎藤和男　69　元筑西市消防団副団長　筑西
佐藤巌　67　小野瀬工業代表取締役　大洗
座間美紀子　73　元各種統計調査員　ひたちなか
杉野賢二　69　元衆院参事　利根
杉山広子　74　「筑波園」介護職員　つくば
高木哲雄　85　元工業統計調査員　神栖
辻きみよ　73　元総合病院国保旭中央病院看護師長　つくば
寺田敏夫　73　元常総市水海道消防団副団長　常総
仲沢信子　64　元幼保連携型認定こども園萬徳寺保育園主幹保育教諭　潮来
中田啓介　67　元東京都監察医務院技能長　取手
永野悟　61　元関東鉄道戸頭駅長　取手
中村尚義　67　元法務技官　常陸太田
浪方康孝　65　元日本郵政公社職員　鉾田
原輝雄　75　元水戸市消防団副分団長　水戸
細谷志美　66　元法務教官　茨城
宮崎誠　69　元海保総務部秘書課自動車係長　取手
武藤ほとり　80　民生・児童委員　取手
山口政美　70　元小美玉市消防団副団長　小美玉

【名簿の見方】氏名、年齢、経歴、現住所等(市区町村名)-の順。

年齢は発令の11月3日現在。経歴の「元」には「前職」を含む。氏名の字体は、共同通信社が使用中のものを基準とした。敬称は略。