減酒支援グループ設立 筑波大と北茨城市 対話や情報提供、診療も
■医師や心理師 寄り添い
過剰なアルコール摂取による健康被害を減らそうと、筑波大と茨城県北茨城市が「減酒サポートグループ」を立ち上げた。飲酒量を減らしたい人や飲酒をやめたい人を対象にした集まりで、医療スタッフの支援を受けながら体験を分かち合う。依存症患者だけでなく幅広く門戸を開いているのが特長で、飲酒習慣に悩む人が改善に乗り出すきっかけにつなげたい考えだ。
同大と同市は2019年、市民病院付属家庭医療センター(同市中郷町上桜井)に、飲酒の悩みを抱えている人を対象にした「アルコール低減外来」を開設。関東を中心に20~80代の通院患者にカウンセリングや薬の処方などの診療を続けている。
減酒グループは今月、同センターで診療に当たる医師で同大地域総合診療医学准教授の吉本尚さん、公認心理師で助教の新田千枝さんらが設立。同大によると、「減酒」を主な目標に掲げた地域グループの設立は全国でも初めてという。減酒を掲げたのは、「断酒はハードルが高い」と抵抗感を覚える人も参加しやすくするためという。診断名や受診歴にかかわらず、誰でも無料で参加できる。
新田さんは、アルコール依存症患者だけでなく「減らしてみようかと思っている人も気楽につながれる場にしたい」と語る。
グループは市コミュニティケア総合センター「元気ステーション」(同)で月1回開催し、当事者だけでなく医師や心理師、市担当課などのスタッフも参加。誤った理解で減酒を諦めることのないよう正しい情報を提供するとともに、必要に応じて診療につなげたい考えだ。
初開催は今月2日。アルコール依存症患者や家族、スタッフら計12人が参加した。飲酒や減酒について、それぞれが体験を踏まえたメリットとデメリットについて意見を出し合い、飲酒のデメリットの方が多いことを確認した。
アルコール依存症という男性(49)は「もっと話したいと思った。(アルコール依存症が)病気という理解が広がっていない。分かり合える人がいるのはありがたい」と語った。
吉本さんは「アルコール依存は孤立の病といわれる。自分を褒めてくれる人、認めてくれる人が増えていくことが(患者への)サポートになる。医療と両面から支援していきたい」としている。