感染症対応に目標値 茨城県計画案 コロナ実績反映
茨城県は22日、感染症のまん延防止や流行時の対応を定める新たな「県感染症予防計画」(2024~29年度)の素案を明らかにした。新興感染症の流行時に医療体制を確保できるよう病床や発熱外来、健康観察する医療機関などの目標数を設定するのが特徴。新型コロナウイルス感染拡大時の実績などを反映させる。素案は同日の県感染症対策連携協議会で了承され、来年3月までに計画を策定する。
素案では、指定感染症や未知のウイルスによる感染症などの新興感染症を巡り、従来計画にはなかった医療体制などの目標値を設定する。感染拡大が続いた場合を想定し、目標値は発生公表から「3カ月後」と「半年後」に分ける。数値はコロナ感染者が最も多かった「第8波」での実績などを参考にした。
入院病床数は3カ月後に279床(うち重症病床18床)、半年後は2倍超の661床(同31床)に設定した。一般外来とは別の「発熱外来」は3カ月後に650カ所、半年後に800カ所とした。
自宅療養者への対応では、健康観察や診療を行う医療機関が半年後に232カ所、薬を届けるなど支援が可能な薬局を同時期に995カ所と定めた。宿泊療養施設は3カ月後に225部屋、半年後に1453部屋とした。
患者対応で逼迫(ひっぱく)した病院を後方支援できる医療機関の数、1日当たりの検査能力も設定。県は各目標値を達成できるよう、平時から関係機関との連携や協定締結を進める。
協議会は同日、オンライン会合を開き、医療関係者ら15人が参加。県の素案を了承した。県立こども病院名誉院長の須磨崎亮委員長は、目標値の設定について「関係機関が力を合わせ、医療を提供できるようにする。感染症が広がった際の対応力を普段から準備できる」と期待を寄せた。
今後はパブリックコメント(意見公募)や来年2月に予定する協議会を経て、3月までに計画を策定する見通し。