小中高生 素粒子測定器作り 舟塚古墳内部調査へ 茨城・東海村と研究機関連携
茨城県東海村内外の小中高生ら18人が素粒子「ミュー粒子(ミューオン)」の測定器作りに挑戦する企画が、同村村松の村歴史と未来の交流館で始まった。物質を通り抜ける性質があるミューオンを使い、詳細が分からない古墳内部を調べる同村のプロジェクトの一環だ。毎月1回のペースで製作を続け、2023年度中に完成させる予定。
プロジェクトは村と世界最先端の実験施設「大強度陽子加速器施設」(同村白方、J--PARC)を運営するJ-PARCセンターなどの研究機関が連携し、23年度にスタートした。調査対象となるのは同村村松の前方後円墳「舟塚古墳群2号墳」(全長75メートル)だ。
4~9月にミューオンや古墳の基礎学習、J-PARCの見学、素粒子の簡易測定器作り体験などを通し、プロジェクト参加者を募った。
参加者33人のうち、初日の19日は18人が出席。ミューオンが通過すると光を出す板状の検出器(縦60センチ、横1メートル、厚さ3センチ)内に、光を集める直径1ミリの光ファイバーを縦と横に通し、光を電気信号に変える光センサーを取り付けた。
子どもたちは細かい作業に悪戦苦闘しながらも、J-PARCセンター担当者らの助言を受け、慎重に作業を続けた。
県立勝田中等教育学校2年の河原井萌凪さん(14)は「古墳や歴史が好きで参加した。自分たちで組み立てた測定器で、早く古墳の中を調べたい」と話した。
12月は今回と同じ作業を行い、来年1月に測定器全体を組み立てる。2月に測定器が稼働するかテスト測定を行い、年度内の完成を目指す。24年度はもう一つ同じ測定器を作りつつ、完成した測定器で実際に古墳内部の測定も始める予定だ。
村教委生涯学習課の担当者は「未知のものを見つけたいという情熱を持って取り組んでもらいたい」と期待を寄せた。