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避難の課題解決へ注視 東海第2拡散予測公表 市町村「一例」「参考に」

東海第2原発の重大事故時の対応を想定する水戸市の担当者=同市中央
東海第2原発の重大事故時の対応を想定する水戸市の担当者=同市中央


茨城県が公開した東海第2原発の重大事故発生時の放射性物質拡散予測で、安全対策がほぼ機能しない場合で住民の避難が生じるのは、事故時に即時避難する東海村を除き、水戸、日立、ひたちなか、那珂、常陸太田、常陸大宮の6市と示された。自治体からは予測を評価し避難計画の活用に言及する声も出た一方、「あくまで一例。策定に影響しない」と距離を置く見方もあった。計画策定には避難先や移動手段の確保など課題が山積。課題解決のため、予測を基に県がどのような体制を整えるか自治体は注視している。

避難計画は、災害対策基本法と国の指針に基づき周辺14市町村に策定が義務付けられている。策定済みは笠間、常陸太田、常陸大宮、鉾田、大子の5市町にとどまる。東海村が年内に、日立市が本年度内に、それぞれ策定する方針だが、7市町の策定時期は未定だ。

策定には県内外の避難先の確保や交通手段の確保などの課題が多い。策定済みを含めた自治体が人数分の避難スペースの確保に追われている。地震や津波などの複合災害への対応も求められる。県は自然災害で交通が遮断された際、迂回(うかい)ルートの伝達手段を模索する。また複数の自治体の原子力施設で同時に災害が発生したケースでは、どちらの避難計画を優先すべきかなどが問題となる。

今回の予測の公表を受け、県は今後、必要な体制を示した上で、市町村の実効性ある避難計画の策定を促す考えだ。

予測について水戸市の高橋靖市長は、条件次第で誤差が生じるとして、「より厳しく受け止め、市内全域の避難計画を策定したい。県の検証を注視し、評価が過小にも過大にもならないよう、原子力災害のリスクを客観的、冷静に捉えたい」とコメントした。

ひたちなか市は、予測は一例だとして避難計画に具体的な影響はなく、活用も未定とした。市は「一つ一つの課題に取り組み、解決することで計画の実効性を高める」としている。那珂市の先﨑光市長は「県の発表を精査し、計画の実効性向上に利用したい。県などの支援、広域的な協力、助言を受けて策定を進める」と説明した。

本年度中の計画策定を予定する日立市は「あくまで条件設定下での数字で、活用は考えていない。予測結果に左右されず策定する」としている。

県内で2番目に避難計画を策定済みの常陸太田市は「結果を実効性向上の参考としたい。県の実効性検証から、引き続き連携して向上に取り組む」とした。同じく策定済みの常陸大宮市も県の検証に期待し、「計画の反映はその検証次第。現時点で具体的な考えはない」ととどめた。



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