生き物の骨、幻想的に 透明標本、冨田さん作品展 茨城・日立
魚や動物の肉質を透明にし、骨を着色した透明標本の作家・冨田伊織さんの作品展「新世界『透明標本』展」が、日立市幸町の日立シビックセンターで開かれている。色鮮やかな魚やカメ、カエルなどの標本約500点が並び、幻想的な世界観を楽しめる。2024年1月8日まで。
冨田さんは1983年、埼玉県生まれ。透明標本は生き物の骨格を調べる時に用いる技法で、北里大水産学部在学中にその魅力に引き込まれて制作活動を始めた。
透明標本は、硬い骨の成分を赤紫色に、軟骨を青色に染色。タンパク質は酵素で分解し、肉質を透明にする。美しさを重視する冨田さんの作品は、メダカ程度の魚で約半年、大きいものは2年ほどかけて仕上げるという。
会場には、胃袋の中に食べた小魚が残っている魚や、おたまじゃくしの変態の過程が分かる標本があり、生物の生き様を紹介。標本の特長や作り方、標本にする前と後を比較できるパネルも並ぶ。
アートエリアは薄暗い空間で標本の魅力を引き立たせる。イカやタコ、ネコザメのほか、深海やアマゾン川に生息する魚を展示。ショーケースを横からのぞくと、作品を立体的に見たり合わせ鏡のように楽しめたりする。冨田さんは「標本を通して生き物のすごさ、かっこ良さを感じてもらえれば」と話している。入場料は大人300円、小人100円。