ひたちなか海浜鉄道湊線 1駅先行開業方針 延伸2段階に変更 茨城
茨城県ひたちなか市の第三セクター、ひたちなか海浜鉄道湊線(勝田-阿字ケ浦駅、14.3キロ)の延伸計画で、工事を2段階に分け、国営ひたち海浜公園の南口付近に新駅を整備し、先行して開業する方針に変更したことが4日、関係者への取材で分かった。当初は2駅分を一括して開業する計画だったが、物価高騰で建設費が膨らんだため、見直しを進めていた。年度内に工事の認可を国に申請する。
変更後の計画は、海浜公園の南口付近に「新駅1」を整備し、延伸区間全3.1キロのうち、阿字ケ浦駅からの1.4キロ区間を先行して開通させる。
新駅1の建設場所は、阿字ケ浦駅寄りから、南口に近い位置に変更する。海浜公園へのアクセスを向上させることで、インバウンド(訪日客)を含めた来場者の利便性を高める。
新駅1付近では、県が新たに工業団地を造成し、非鉄金属大手のJX金属(東京)が大規模な新工場を建設している。観光に加え、進出企業の通勤需要も取り込みたい考え。
海浜公園西口付近に予定する「新駅2」までの残り1.7キロ区間については、新駅1が完成した後に整備する。
延伸計画は、現在終点の阿字ケ浦駅から海浜公園西口付近までの3.1キロ区間に、新駅二つを設置する。延伸事業許可を国土交通省に申請し、2021年1月に認められた。しかし、物価高騰などで事業費が拡大し、工事施工認可の申請を2回延期。当初予定した24年春の開業は困難となっていた。
事業費は当初計画の約78億円から、物価高騰の影響で100億円以上に増える見込みという。そのため、列車が通る高架橋部の一部を盛り土構造に変更するなどして、事業費の削減に努める。
阿字ケ浦駅から新駅1までの区間の事業費、開業時期などについては今後、国など関係先と詳細を調整する。市や同鉄道は本年度中に工事施工認可を申請し、早期の開業を目指す。