鈴木さん(茨城・日立工高) 化学分析2級 県内高校生初合格 「道究めたい」
茨城県立日立工業高の工業化学科3年、鈴木実(みのり)さん(18)=同県日立市=が、国家資格の技能検定「化学分析(化学分析作業)」2級に合格した。実務経験のある社会人が受検するレベルで、県職業能力開発協会によると、正確な記録が残る1969年以降、県内高校生の合格は初めて。鈴木さんは「これからも頑張って化学の道を究めたい」と意欲を見せる。
技能検定は、労働者が持つ技能の程度を判定したり、習得レベルを評価したりする国家検定制度。合格すると「技能士」と名乗ることができる。
鈴木さんが合格した化学分析は、物質を構成する元素やイオン、化合物などの科学的成分の種類や量を明らかにする分野。実技と筆記の試験がある。
実技は、与えられた溶液に含まれる成分や量を制限時間内に求めるもの。鈴木さんは放課後に実技練習を重ねるとともに、帰宅後は筆記試験に備えて過去問題を開いては、分からない用語を調べる地道な作業を進めてきた。「大変だったが、好きなことなのできついと思うことは少なかった」と振り返る。
自他共に認める、大の化学好き。同校への入学を決めたのも「その道を究めたい」と考えたからだ。家族も、父親は電気系、兄は建築系の資格を生かして働いており「2人の姿を見てプロフェッショナルがかっこいいと思った。自分もそうなりたかった」と笑顔を見せる。
昨年8月の検定試験では、実技が100点満点中80点以上の合格者を対象にした「優秀賞」にも選ばれた。実技指導に当たった同校実習助手の清水大輔さん(36)は「技能士と名乗れることは誇り。実りある3年間となり自分もうれしい」と喜ぶ。
鈴木さんは「知れば知るほど全ての根本に化学があると気付く。さまざまなところにつながり、広がっていくことが楽しい」と魅力を語る。
就職活動でも技能を生かせる県内企業から内定を得ており、「頑張って会社に貢献したい。いろいろな資格も必要になると思うので勉強も頑張る。いつか化学を教える教室もやってみたい」。自身が夢中になった化学の素晴らしさを広く伝えたい考えだ。