能登半島地震 「感染症対策が課題」 茨城の水戸赤十字病院 医療班が活動報告
能登半島地震の被災地支援で、石川県に派遣されていた水戸赤十字病院(茨城県水戸市)の災害派遣医療チーム(DMAT)が9日、同病院に戻り、現地での活動内容を報告した。リーダーの捨田利(しゃたり)外茂夫(ともお)医師は、被災地での救急外来対応などを踏まえ、今後は「寒さや体力低下に伴う感染症対策が課題」と語った。
同病院のDMATは医師と薬剤師各1人、看護師2人の計4人で構成し、県の要請で6日から石川県に入った。現地の指示で輪島市内の活動を担い、7日は市立輪島病院で救急外来患者の診療などを行った。
捨田利医師らによると、輪島病院では不休で対応していた医療スタッフに代わり、主に発熱患者を中心に診療。最低気温が氷点下となる中、新型コロナウイルスや季節性インフルエンザ、ノロウイルスなどの感染例が目立っていた。
翌8日は福祉施設などで高齢者の健康状態を把握し、訪問診療や聞き取りによる医療スタッフの派遣指示業務を担った。多くの施設で停電や断水が続いており、衛生面や生活環境の悪化が深刻になりつつあるという。
輪島市出身の捨田利医師は、建物が倒壊し、道路が寸断している状況に「一人ができることは限られているが、少しでも被災地の支援につなげたい」と話した。
DMATを出迎えた佐藤宏喜院長は「大変なミッションで、活動は病院にとって誇り。経験を次に派遣するチームへ引き継いでほしい」とねぎらった。
同病院では12日から、現地で救護班の運用を指示する「災害医療コーディネーター」を派遣する予定。