過積載取り締まり強化 茨城県警摘発 昨年325件 不法投棄の温床か
茨城県警が、規定以上の積み荷を載せて走る過積載車両の取り締まりに力を入れている。昨年1年間では325件を摘発した。違反車両が廃棄物や残土の不法投棄の温床となっている可能性もあり、県廃棄物規制課とも連携して違反車両に目を光らせている。
■夜明け前
1月下旬、千葉県境に近い常磐自動車道谷和原インターチェンジ(IC)近くに、県警捜査員や県廃棄物規制課の職員十数人が集まった。時間は夜明け前の午前5時。東日本高速道路(ネクスコ東日本)の協力の下、過積載に重点を置いた合同取り締まりが始まった。
常磐道を警戒していた県警の覆面パトカーから、過積載の疑いがある大型ダンプの連絡が入る。同ICに到着した車両は、隣接するネクスコ東日本谷和原管理事務所の敷地へ次々と誘導されていった。
敷地内では、車両の重量測定を実施。この日は同9時までに道交法違反(過積載)容疑で6人を摘発。いずれも県外から土を運んできており、規定積載量の2倍を超える車両もあった。
■水際阻止
過積載は、主にトラックやダンプなどの貨物車両が定められた積載量を超えた荷物を積んで走行すること。違反した場合、同法や道路法、貨物自動車運送事業法の三つの法律に基づき、運転手や運送会社、荷主などに罰則が科せられる決まり。
県警によると、昨年1年間の道交法違反(過積載)での摘発は325件で、10年前の約6倍に上った。積載物別では残土が最も多かった。
一方、合同取り締まりに加わった県が注視するのは、積み荷の中身だ。同ICではこの日、担当職員が違反車両などの運転手に聞き取りを実施。狙いは、県外から持ち込まれる土砂や産業廃棄物など不法投棄の水際阻止だ。
摘発された運転手の1人は、県外から土砂を運び込んでいる途中。県の聞き取りに対し「どこに運ぶのか知らない。この後、電話で指示される予定だった。(摘発され)割に合わない」とこぼした。
■利益確保
過積載を違法と知りながら、運転手たちが積み荷を運ぶ理由はさまざま。
捜査関係者は「運転手が個人事業主の場合、過積載と知りながら頼んでくる荷主の依頼を断りにくい」と指摘。荷主側がコスト削減のため、一度でより多くの積み荷を運ばせようとするケースがあるという。
不法投棄目的で建設残土や廃棄物を過積載する場合について、別の捜査関係者は処理費用の高さを挙げ「元請けから下請けへ仕事が流れる過程で報酬が中抜きされるため、利益確保のため不法投棄に及ぶのだろう」と語った。