元部長「ばれたら返す」 水戸京成百貨店雇調金詐取 茨城県警、部下3人も聴取
茨城県水戸市の水戸京成百貨店を巡る国の雇用調整助成金の詐取事件で、元総務部長の男(57)=詐欺罪で在宅起訴=が起訴前の事情聴取に対し、「(不正受給が)ばれたら返せばいいと思った」と話していたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。県警は元総務部長の部下3人についても在宅で調べを進めている。
捜査関係者によると、当時、申請実務のトップだった元総務部長は県警の聴取に対し、元社長の斎藤貢容疑者(66)=同罪で起訴、別の同容疑で再逮捕=から休業日数を水増しした雇調金の申請書を茨城労働局に提出するよう指示されたと説明している。
2020年4月に斎藤容疑者から口頭で指示があった際には「不正はいけない」などと反対したものの、その後も指示が変わらなかったことから「上司に逆らえない。ばれたら返せばいい」と思い直し、部下の人事担当者3人と共謀して同8月以降に茨城労働局へ雇調金の水増し申請を始めたとみられるという。
県警によると、斎藤容疑者は容疑を否認し、元総務部長は休業日数の水増しを認めているという。
同社は2年半にわたって雇調金と緊急雇用安定助成金の計10億7300万円を受給し、不正発覚後には支給額の2割相当のペナルティーと延滞金を合わせた約13億4400万円を、親会社の京成電鉄(千葉県)から全額借り入れ、返還した。