修復オルガン 音色柔らか 60年ぶりに披露 茨城・土浦
昭和初期に製造され、かつて土浦幼稚園で使われたリードオルガンの演奏会が10日、茨城県土浦市中央の市立博物館で開かれた。オルガンは足踏み式の山葉(現ヤマハ)製で、公開を前に修復し、人前で弾かれなくなってから約60年ぶりに音色がよみがえった。元所有者の子孫らも訪れ、柔らかな音色に耳を傾けた。
オルガンは同園から1951年開園の土浦第二幼稚園に移された後、廃棄処分となった。この際、教諭の飯島せんさんが引き取り、修理して家で使っていた。土浦幼稚園100周年の85年、市の調査で所在が分かり、そのまま市に収蔵されていたが、2010年に寄贈を受け、21年に修理を実施した。
この日は2回演奏があり、1回目は土浦聖バルナバ教会(同市)のオルガニスト、森浩孝さんが聖歌や「カノン」「シャボン玉」など5曲を披露。柔らかな味わい深い音色を奏でて、約30人の聴衆を魅了した。
飯島さんの息子、忠夫さん(73)=同県つくば市=も家族とともに演奏会を訪れ、思い出のオルガンの調べに聞き入った。忠夫さんは「亡き母の演奏でなじんだ音だった。自分も小学生の頃に弾いていた。感動です」と感慨深げだった。