茨城県内刑法犯24%増 コロナ制限緩和、影響か 金属盗は全国ワースト
茨城県警は14日、茨城県内の2023年の刑法犯認知件数が前年比24%増の1万9767件だったと発表した。新型コロナの5類移行に伴う行動制限の緩和が影響したとみられる。同年6月に始めた高齢者世帯への巡回連絡などで一定の抑止効果はあったとみられるが、通年ではコロナ禍前の19年とほぼ同水準。金属盗の件数は全国ワーストだった。
県内の刑法犯認知件数は19年の2万312件から21年に1万4277件に減少したが、22年は1万5986件と02年以来20年ぶりに増加に転じていた。増加は22年に続き2年連続。
県警によると、23年の殺人や強盗、放火などの重要犯罪は231件で、昨年の212件から微増。一方、検挙件数は22年比19%増の5958件で、検挙率は約30%。約千件増えたものの、認知件数が増加した影響で横ばいとなった。
認知件数全体の74%を占めたのは、自動車や自転車などの乗り物盗や空き巣など住宅侵入盗、金属盗などの窃盗犯。このうち、住宅侵入盗は22年比20%増の1206件で、乗り物盗のうち自動車盗は同4%増の615件だった。いずれの全国順位も上半期はワースト2位だったが、下半期には減少し、通年では同4位となった。
住宅侵入盗や自動車盗が減少した背景について、県警は、昨年6月から高齢者が暮らす全53万世帯に対する「巡回連絡」で住宅の鍵掛けなど防犯対策の徹底を呼びかけたり、流通事業者らへの注意喚起を強化したりした成果が出ているとみている。
ただ、金属盗の認知件数は年間を通して増加。23年は2889件に上り、22年比77%の大幅増で全国ワースト1位となった。太陽光発電施設での被害が金属盗全体の58%を占めており、半数以上が県南、県西地域に集中した。
県警は昨年5月以降、金属くず取扱業者への立ち入り調査や窃盗グループを組織する不法滞在外国人の合同摘発に加え、太陽光発電事業者には自主的な防犯対策を呼びかけている。
県警は「対策の効果は出ている。今後も県民のディフェンス力を高めたい」としている。