石岡出身の須藤さん 独創的布作り紹介 水戸芸術館で「こいのぼり」展示 茨城
布の持つ可能性を追求するテキスタイル(布地・織物)デザイナー、須藤玲子さんと、テキスタイルデザイン会社「NUNO」の布作りを紹介する企画展が、茨城県水戸市五軒町の水戸芸術館現代美術ギャラリーで開かれている。雄大なインスタレーション「こいのぼり」を屋内外に展示。公開された資料などを通し、デザインの着想背景や、多くの人の手を経て出来上がる布作りの裏側を詳しく知ることができる。
須藤さんは1953年、同県石岡市生まれ。伝統的な染色技術と現代の先端技術を融合し、従来にない素材を取り入れて独創的な布作りを展開。世界的に高く評価されてきた。東京造形大名誉教授。NUNOの代表とデザイン・ディレクターを務める。
同展では、須藤さんが糸の素材や構造、コンセプトを模索し、全国各地の職人とともに試行錯誤しながら布を作り上げていく様子が、豊富な資料とともに紹介されている。布を作る工場の様子を再現したインスタレーションでは、人の作業を写した映像が布上に投射され、布作りの現場に入り込んだような感覚が楽しめる。須藤さんの作ったさまざまな布に直接触れられるコーナーもある。
ギャラリーと同館広場で展示されるインスタレーション「こいのぼり」も大きな見どころ。同作の野外展示は初めてという。また、水戸藩ゆかりの染色技法「水戸黒」で制作されたこいのぼりも公開されている。
須藤さんは「テキスタイルは毎日当たり前にあるものだが、どう作られているかあまり知られていない。今回の展示を通して、たくさんの人が関わり布ができることを知ってもらうのが私たちの望み」と話す。
5月6日まで。午前10時から午後6時まで。月曜休館。