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キョン出没、茨城県内警戒 繁殖阻止へ捕獲緩和

キョンの剥製を前に生態を学んだ講演会=1月16日、土浦市沖宿町
キョンの剥製を前に生態を学んだ講演会=1月16日、土浦市沖宿町


千葉県で食害が深刻化するシカ科の特定外来生物「キョン」が茨城県に出没し、県内自治体に警戒感が広がっている。神栖市で確認後、石岡、筑西、下妻の各市でも見つかった。県は近く、市町村に委ねる有害鳥獣の捕獲許可権限の対象にキョンを追加する。わなにかかったキョンを逃がさず捕獲できるよう手続きを緩和し、繁殖を防ぐ。

下妻市唐崎の県道で昨年12月28日、雄のキョンが死んでいるのが見つかった。県内で確認されたのは4件目だった。

「これが最後であってほしい」。外来生物対策を担う市環境課の担当者は不安げに話す。

県内で初めてキョンが確認されたのは2017年5月。神栖市の常陸川大橋で死んでいるのが見つかった。22年には、石岡市の山中に設置されたセンサーカメラに、歩いて移動するキョンが映り込んでいた。

さらに昨年9月、筑西市を流れる大谷川の堤防を移動する姿が撮影された。確認されたのは、いずれも雄。繁殖している可能性を示す雌は確認されていない。

一方、筑西市で見つかった場所は、栃木県境まで約6キロ。新たな脅威は隣県にもじわりと及ぶ。

千葉県では爆発的に繁殖し、生息数が7万頭余りと推定されている。

隣接する茨城県への定着が危惧される中、土浦市の県霞ケ浦環境科学センターで1月、キョンの専門家を招いた講演会が開かれた。

環境省が主催し、県内の外来生物や農政を担当する市町村職員、狩猟関係者ら約100人が参加した。

キョンの生態に詳しい麻布大の加瀬ちひろ講師(動物行動管理学)は実験結果を紹介。畑への侵入を防ぐには「高さ85センチの柵であれば基本的に越えることはない」と述べた。

質疑応答では食害に関する質問が相次いだ。鉾田市農業振興課の皆藤拓也係長(39)は「5年後10年後、鉾田に入ってきてもおかしくない」と話し、隣接自治体と連携する考え。猟友会竜ケ崎支部の田村盛一さん(68)は「数万頭にもなったら、駆除するのは難しいだろう」と語り、警戒感を強めた。

県も対策に乗り出した。県議会12月定例会に知事権限に関する条例の一部改正案を提案して成立。これを受けて今年4月、市町村に委ねている有害鳥獣の捕獲許可権限の対象にキョンを追加する。

現在はキョンの捕獲許可は、各地域の県民センターまで行って申請しなければならないが、今後はイノシシと同様に市町村窓口で可能となる。イノシシのくくりわなや箱わなにかかったキョンを「錯誤捕獲」として放すことがないようにするためだ。

定着防止へ情報収集する県自然博物館(坂東市)の副主任学芸員、後藤優介さん(42)は「茨城で増えてしまうと、栃木や福島を通じて本州全域に広がってしまう」と指摘。「何とか茨城で増えない状況をつくらないといけない」と危機感を示した。

★キョン

原産は中国南東部や台湾。国内では千葉・房総半島や東京・伊豆大島に分布する。いずれも飼育施設から逃げ出し、野生化した。千葉県内の推定生息数は2022年度で約7万1500頭。基本的には単独行動で、雄雌ともに生後6カ月から繁殖可能。

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