ひたちなか海浜鉄道湊線、30年にも新駅開業 国が認可 延伸の先行区間 茨城
茨城県ひたちなか市は4日、第三セクター、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸計画の変更が国に認められたと明らかにした。市と同社は工事を2段階に分け、国営ひたち海浜公園の南口付近に先行して新駅を増設。2030年春の開業を目指す。全体事業費は126億円、うち先行区間は59億円。
市は「新駅1」の整備地を当初計画の終点・阿字ケ浦駅寄りから、海浜公園南口付近に変更。延伸区間3・1キロのうち、新駅1までの1・4キロを先行して整備し、開業させる方針を昨年12月に決めた。
阿字ケ浦-新駅1間の事業費は59億円で、25年度以降に着手する。開業時期は着手から5年後を想定。市と同社は3月中に工事施工認可を国に申請する。
新駅1を海浜公園南口の近くにすることで利便性を高め、乗客や公園来場者の拡大につなげたい考え。付近では県が工業団地を造成し、非鉄金属大手のJX金属(東京)が大規模な新工場を建設しており、通勤需要の取り込みも見込む。
一方、公園西口付近に整備を予定する「新駅2」までの残り1・7キロの事業費は67億円。開業時期は、新駅1までの整備状況に合わせて決めるため、現時点では未定としている。
全体の総事業費は、物価高騰の影響で計126億円に膨らんだ。列車が通る高架橋部の一部を盛り土構造に変えるなどして事業費削減を図ったが、当初計画の78億円から大きく増えた。市担当者は「国や県による支援の活用を検討する」としている。
計画の変更に基づき、市や同社は2月9日、「鉄道事業基本計画変更認可申請書」を国土交通省関東運輸局に提出した。
4日の市議会本会議で大谷明市長は、この日認可を取得したと報告し、「引き続き、海浜鉄道と事業を進め、国と協議していく」と話した。
延伸計画は当初、阿字ケ浦駅から公園西口付近間の全3・1キロに新駅二つを設けるとして、21年1月に国土交通省から事業許可を得た。だが、物価高騰による事業費増などで工事施工認可申請を2回延期。予定した今年春の開業は困難となっていた。