SNS悪用、詐欺多発 投資勧誘や恋愛装う手口 茨城県内 被害13億円、40~50代集中
交流サイト(SNS)などを悪用して投資勧誘したり、相手に恋愛感情を抱かせたりして金銭をだまし取る手口の詐欺が多発している。「SNS型投資詐欺」「ロマンス詐欺」と呼ばれ、茨城県警がまとめた2023年の被害総額は約13億円。被害はいずれも40~50代に集中しており、1件当たりの被害額平均は1千万円超に上っている。
SNS型投資詐欺は、外国為替証拠金取引(FX)や暗号資産、株式投資など効率的な資産運用名目で金をだまし取る手口。ロマンス詐欺は、マッチングアプリなどで知り合った相手が恋人や結婚相手になったかのように装い、送金させる手口。いずれもスマートフォンが普及した10年代以降に目立ち始めた。
茨城県警がこれら詐欺被害について集計したのは初めて。それによると、茨城県内で23年に被害が確認されたのは115件。SNS型投資詐欺が78件で約9億400万円、ロマンス詐欺は37件で約4億700万円だった。二つを合わせた被害額は同年のニセ電話詐欺被害(約5億円)の約2・6倍で、被害額平均はそれぞれ1100万円を超えた。
被害者はいずれの詐欺でも40~50代が多く、SNS投資詐欺は50代が全体の28・2%、40代は同21・8%。ロマンス詐欺では50代が同37・8%、40代は同29・7%だった。投資や国際的な恋愛に関心があり、資金が比較的多い年齢層が狙われているとみられる。
このため高額被害が相次ぎ、SNS型投資詐欺では、県西地域の50代女性が外国人を名乗る男から「もうかる暗号通貨がある」と勧誘され、口座に計11回にわたり振り込み約1億2千万円をだまし取られた。ロマンス詐欺では、県北地域の50代女性がマッチングアプリで知り合ったドイツ在住という日本人の男に勧められた投資取引サイトの口座に19回送金し約1億2300万円をだまし取られた。
ロマンス詐欺で犯人が名乗った国籍は、東アジア(約43%)が最多。次いで日本(約22%)、北米(約16%)と続いた。「日本で一緒に住みたい」などと言われ通関費用や渡航費用を要求されるケースもあった。
県警は、手口の周知や投資詐欺サイトへ誘導する投稿削除依頼などの対応に乗り出すとともに、「SNSで知り合った人に安易に送金しないで」と呼びかけている。