旅人が一夜の宿を借りて床に入ると、隣の部屋から老夫婦の会話が聞こえてきた。「あした、半ごろしにしようか。それとも手うちにしようか」
▼旅人は震え上がり、眠れないまま迎えた朝、予想外の甘いごちそうをいただく。老夫婦はおはぎにするか、うどんにするか話していたのだ。落語のほか、同様の民話が各地に残る
▼もち米を全部つぶさず粒を半分残した状態を表す。徳島県を訪ねた折、実際に「はんごろし」の名で売られるおはぎを目にした。地域伝統の味で、パッケージでは黄色のかわいらしいキャラクターがにっこり笑っていた。粒を残さず、餅になるまですりつぶしたものは「みなごろし」と呼ぶそうだ
▼お彼岸の中日。春はぼた餅、秋はおはぎをご先祖様に供える家庭も多いはず。それぞれの季節に咲くボタン、ハギの名が元になっていることはよく知られる
▼夏と冬の名もある。つく時に餅のような音は立たないため「つき(着き・月)知らず」という。夜の舟はいつ着いたか分からないとして夏は「夜舟」、北の窓からは月が見えないため冬は「北窓」
▼四季折々の呼び名からは自然の恵みや昔の人の遊び心が伝わってくる。こっちの呼び方なら、旅人もゆっくり眠れただろうに。(拓)
▼旅人は震え上がり、眠れないまま迎えた朝、予想外の甘いごちそうをいただく。老夫婦はおはぎにするか、うどんにするか話していたのだ。落語のほか、同様の民話が各地に残る
▼もち米を全部つぶさず粒を半分残した状態を表す。徳島県を訪ねた折、実際に「はんごろし」の名で売られるおはぎを目にした。地域伝統の味で、パッケージでは黄色のかわいらしいキャラクターがにっこり笑っていた。粒を残さず、餅になるまですりつぶしたものは「みなごろし」と呼ぶそうだ
▼お彼岸の中日。春はぼた餅、秋はおはぎをご先祖様に供える家庭も多いはず。それぞれの季節に咲くボタン、ハギの名が元になっていることはよく知られる
▼夏と冬の名もある。つく時に餅のような音は立たないため「つき(着き・月)知らず」という。夜の舟はいつ着いたか分からないとして夏は「夜舟」、北の窓からは月が見えないため冬は「北窓」
▼四季折々の呼び名からは自然の恵みや昔の人の遊び心が伝わってくる。こっちの呼び方なら、旅人もゆっくり眠れただろうに。(拓)