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刻々と迫る国立大2次試験を前に、緊張感が高まった。そんな時、思いがけず茶封筒に入った贈り物が自宅に届いた。現浪2年間で初めて手にする合格通知だった

▼セピア色に変わった37年前の出来事だ。今春の入試シーズンはほぼ終わり、進路が定まった「元受験生」は引っ越しなどで慌ただしく過ごしているに違いない。春はいつでもせわしない

▼一方で、幸運が舞い降りるとは限らない。結果を受け入れらず、虚無感に包まれている若者も少なくないかもしれない。すぐに一歩を踏み出せなくても、手探りで道を探り当てればいい

▼作家、梨木香歩さんは「ほんとうのリーダーのみつけかた」で若い世代に訴える。「敗者であることに向き合うことの奥深さに較(くら)べれば、勝者であることなんか、薄っぺらいことです」

▼人気バンド、バックナンバーの「水平線」はコロナ禍の高校生に向けて作られた。希望が砕け散っても、輝きを追い求めた日々はきっと、小さな光になるはず-。こんな思いがあふれる

▼この曲で印象的な一節を見つけた。〈心は誰にも見えないのだから 見えるものよりも大事にするといい〉。時に足踏みしても、内面を直視して悩んだ日々を大切に、焦らず進んでほしいと願う。(崎)

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