素粒子測定器が完成 茨城・東海、小中高生ら制作 舟塚古墳内部調査へ
宇宙から降り注ぐ素粒子「ミュー粒子(ミューオン)」で、古墳内部を調べる茨城県東海村と世界最先端の実験施設「大強度陽子加速器施設」(同村白方、J-PARC)などが連携した事業の一環で、村内外の小中高生が昨年10月から作っていたミューオン測定器が完成した。同村村松の村歴史と未来の交流館で17日、子どもたちが参加して閉講式が行われ、測定器の動作確認や来年度から実際に測定する古墳について学んだ。
本年度から始まった同事業は、研究者だけでなく子どもたちと行うのが特徴で、地域独自の文理融合教育も目指す。
昨年4~9月にミューオンや古墳の基礎学習、J-PARCの見学などを通して参加者を募り、同10月から小中高生25人が研究者とともに毎月1回のペースで測定器作りを始め、2月に完成させた。
測定器は重さ200キロ。アルミ製の箱(縦1・3メートル、横1・5メートル、高さ1メートル)の中に、ミューオンが通ると光を出す板状の検出器(縦60センチ、横1メートル、厚さ3センチ)二つが1メートルの間隔を空けて設置されている。
閉講式には19人が出席し、山田修村長から修了証が手渡された。その後、測定器で実際に通過したミューオンが測定できるかを確認し、調査対象となる前方後円墳「舟塚古墳群2号墳」(同村村松、全長75メートル)について、専門家から古墳が造られた時代背景や形の特徴について学んだ。
山田村長は「歴史と最先端科学を融合させた学習は村ならではの取り組み。全員が協力して大きな成果を出せたことは素晴らしい」と参加した児童、生徒をたたえた。村は来年度から測定器を使って古墳内部の調査を始めるとともに、もう一つ同じ測定器を作る予定。
県立佐和高2年の吉田玲音(れおん)さん(17)は「コミュニケーションを取りながらみんなで測定器を作ることができて楽しかった。来年度から始まる古墳内部の測定にも挑戦したい」と意欲を語った。