大相撲春場所千秋楽の24日、二所ノ関部屋がある茨城県阿見町では、地元住民らが同部屋の大の里の初優勝を願い、応援に声をからした。千秋楽まで優勝争いを演じ、あと一歩で初優勝を逃したが、「よく頑張った。地元の誇りだ」「次は絶対優勝していつか横綱になってほしい」と、ざんばら髪で大相撲界を沸かせた「地元の星」をたたえた。

同部屋近くの舟島ふれあいセンターで開かれた観戦イベントには、地元ファン約50人が集まった。大の里の取り組みの前に尊富士が優勝を決めると、悲鳴とため息が交錯。それでも多くが会場に残った。大の里は豊昇龍の下手投げに屈して12勝目は逃したが、今場所を最後まで盛り上げた大の里へねぎらいの拍手が鳴りやまなかった。

「がんばれ大の里」と書いた画用紙を掲げて観戦した阿見第一小5年の小野初希さん(11)は「残念というよりもよく頑張ったと思う。これからも町を元気にしてほしい」とエール。町民らと会場で見守った千葉繁町長は健闘をたたえながら、「部屋のその他の力士も頑張っており、町の行事に参加するなど地域貢献してくれている。町も部屋もたくさん課題はあると思うが、これからも一緒に目標達成を目指していきたい」と話した。

二所ノ関部屋は2022年6月、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が設立。入門当時から大の里を知る住民たちも、自宅のテレビで観戦した。「優勝は逃したが感動をくれた。次は尊富士を破って優勝してほしい」と語ったのは部屋周辺の草刈りなど担う二所ノ関部屋協力隊隊員の戸田さつきさん(44)。急成長に目を細め、「こんなすごい人が身近に住んでいることは改めてすごいと感じる」と話した。

同部屋の力士を審査員に招いた料理コンテストを開いたことがある、つくば栄養医療調理製菓専門学校(茨城県牛久市ひたち野東)の今井恭子校長(54)は「強い強いとは聞いていたが、まさかこんなに早く活躍するとは。次こそ優勝し、親方のように横綱になってほしい」とさらなる活躍に期待を寄せた。