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さえずり、遠ぼえ、羽音。ひとくくりにすればどれも「声」。人間社会も声から会話が生まれ、多くの情報を得て生活が成り立っている

▼水戸市内で開かれたシニア対象の声楽コンクールで、声が持つ力や奥深さを改めて感じた。伸び伸び、爽やか、堂々…。年齢や経験なのか、それぞれの人生と重なるように個性が光った

▼80歳以上の部で1位になった水戸市の田山興誠さん(83)は声楽を始めて35年。上達の秘訣(ひけつ)は「発声の基本をしっかり身に付けること」。継続を心がけ、歌を含めて趣味を満喫する

▼観客に思いを届ける豊かな声は簡単には手に入らない。審査委員長を務めた声楽家の松本美和子さん(82)はイタリアへ渡り、国内外で活躍。常に発声を追求し、「楽しめるようになったのは65歳を過ぎてから」と話す。人一倍練習を積み、ようやく納得のいく「自分の声」を見つけたという

▼コンクールは歌の魅力を共有することに加え、シニアの生きがいや仲間づくりを目指している。多くの地域で人口減少が進む中、日々会話し、交流できる環境は高齢者の健康維持につながる

▼子どもからお年寄りまで健康に暮らし、小さな生き物も元気。さまざまな声がバランス良く聞こえる、そんな地域がいい。(滝)



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