茨城県北3河川に調節池 茨城県、貯留機能を強化 河道掘削やカメラ増設
昨秋の台風13号に伴う大雨で氾濫した日立、高萩、北茨城の茨城県北3市を流れる河川に対し、茨城県が貯留機能強化を柱とする緊急対策を固めたことが2日、分かった。今後5年間をめどに、里根川(北茨城市)など3河川で一時的に水をためる調節池を新たに整備し、増水時に下流への流量を抑える。河道を掘削して流下能力を向上させるほか、監視カメラの増設などを進める方針。
調節池は大雨で増水した際、河川沿岸などへ一時的に水を貯留し、下流への流量を下げる役割をする。県は里根川と関山川(北茨城市)、関根川(高萩市)の3河川で各1カ所に新たな調節池を整備し、河川の越水や溢水(いっすい)など氾濫による浸水被害に備える。
今後、具体的な場所を選定した上で用地取得を進め、2028年までの整備を目指す。このほか関山川と塩田川(北茨城市)の計3カ所で既に整備済みの調節池も、貯留可能な水量を増やす考え。
台風13号による大雨では、日立市の宮田川、鮎川、東連津川、大沼川、北茨城市の里根川、関山川、江戸上川、塩田川、高萩市の関根川の県管理9河川で氾濫が発生した。こうした被害を受け、県は県北3市や東海村などで構成する「県二級水系流域治水協議会」で、9河川に対する緊急対策を検討してきた。
緊急対策ではこのほか、河道掘削を氾濫被害のあった9河川全てで実施し、流下能力を向上させる。里根川と関根川で、沿岸の水田に雨水を一時的にためる「田んぼダム」の導入を検討するほか、里根川、東連津川、鮎川には河川監視カメラを新たに設置したり、設置箇所を増やしたりする。
県が管理する2級河川では、これまで河道掘削を中心としたハード対策を進めてきた。台風13号で過去最大規模の大雨が観測されるなど、被害が激甚化する傾向にあることから、流下能力の向上に加え、貯留機能の強化を重点的に実施する対策を進める。
県は管理する県内全216河川で、ハザードマップの基礎資料となる「洪水浸水想定区域図」の作成を24年度中に完了させる方針。県河川課は「調節池は流域全体の被害を防止する上で、早期に効果が出せる対策の一つ」としており、頻発化・激甚化する自然災害への備えを強める構えだ。