茨城・桜川で全国シンポ ヤマザクラ 100年先へ 名勝保全、専門家ら議論
名勝「桜川」の国指定100周年を記念し、サクラを生かしたまちづくりを考える第43回全国さくらシンポジウムが4日、茨城県桜川市羽田の大和ふれあいセンターシトラスで開かれた。専門家らが、名勝のサクラの現状や保全上の課題を指摘。100年先のヤマザクラを見据えて議論し合った。市民ら約300人が参加し、熱心に耳を傾けた。
同シンポは日本花の会が主催。1982年に始まった。全国のサクラの名所で開かれ、今回は桜川市が共催した。県内開催は結城、日立市に次いで3回目。
この日のシンポは、日本樹木医会県支部長の古谷孝行さん、桜川日本花の会代表の磯部亮さん、郷土史家の稲葉寿郎さん、森林総合研究所九州支所の勝木俊雄さんの4人が講師を務めた。名勝地の磯部桜川公園や桜川磯部稲村神社の歴史と現状についてそれぞれ講演し、最後にパネル討論を行った。
討論では冒頭、勝木さんが景観維持に必要な方策について問題提起した。古谷さんは枯れ木の増加を指摘し「補植しなければサクラがなくなる」と危機感を示した。磯部さんは「(後に植えられた)ソメイヨシノが成長し、古来のヤマザクラは枯れている。補植するなら、古来の種を継承すべき」と強調。稲葉さんは、同地のサクラが多くの文化人に高く評価されてきた経緯に触れ「歴史や文化の背景を重んじた整備を」と訴えた。
勝木さんは「同市のように文化財としての価値をしっかりと認識しているところはなかなかない。ぜひ観光客にも広く発信してほしい」と話した。
5日は、参加者らが磯部桜川公園や桜川磯部稲村神社などを巡り見学する。