童謡普及 雨情の活動紹介 掛け軸や小学校選集 北茨城で企画展
茨城県北茨城市出身の詩人、野口雨情(1882~1945年)による童謡の普及活動の一端を紹介する企画展「野口雨情 童謡を広めた詩人」が、同市磯原町磯原の市歴史民俗資料館で開かれている。作詩した「青い眼の人形」の直筆の掛け軸や、童謡教育との関わりが読み取れる雨情執筆の序文が掲載された小学校童謡選集など計17点が展示されている。同展は6月9日まで。
雨情は北原白秋や西条八十とともに日本三大童謡詩人の一人とされる。童謡を広めるため普及書の発行や講演会などを行っており、同展は作品とともに、その活動を知ってもらうため企画された。
「青い眼の人形」は、1921年に雑誌「金の船」で発表された。今回の展示で掛け軸と、一節をしたためた直筆の書を公開。親善と友好を願い、27年に米国から日本に送られた親善人形について、雨情の作品にちなみ「青い眼(目)の人形」と呼ばれ親しまれた経緯も解説している。
童謡教育との関わりを垣間見られる資料として、22年刊行で真壁郡(当時)の若柳小学校の子どもたちが創作した童謡を収録した「蝙蝠(こうもり)の唄 若柳小学校童謡選集」を展示。同館によると、大正時代の茨城県は特に県西と県南地域の小学校が童謡教育に熱心に取り組んでいた。雨情は同校の教師と懇意にしていたという。序文で雨情は「若柳小学校ほど、郷土の自由な言葉で熱心に童謡の創作を奨励して来た学校は、ほかにはほとんどありません」と述べている。
このほか、雨情が校長を務めた児童夏季学校の卒業証書も並べた。「十五夜お月さん」や「黄金虫」などの作品が掲載された雑誌や童謡小曲集も展示し、当時の背景と一緒に紹介している。
企画展の担当者の一人、樫村聖子さん(60)は「展示を通して童謡に慣れ親しんでもらい、聴くきっかけにしてほしい」と話した。
午前9時~午後4時半(入館は同4時まで)。月曜休館。入館料は一般320円、学生100円、市外65歳以上200円。市内65歳以上、中学生以下などは無料。