ゾーン30「効果あり」 茨城県内、進化形設置で事故減
生活道路の安全を守るため、茨城県警や同県内自治体が、道路標示などで事故防止を注意喚起する「ゾーン30」や道路を狭めるなど進化した「ゾーン30プラス」の整備を進めている。設置後に事故が減少した場所もあり、設置自治体は効果を実感。今後も追加対策に乗り出す構えだ。
区域を定めて車の最高速度を規制するゾーン30は2012年度から整備が始まり、現在は県内に83カ所ある。ゾーン30プラスは、速度規制に加え、道路の一部にポールを設置するなどの対策を組み合わせた取り組み。千葉県八街市で21年6月に起きた児童5人死傷事故などを契機に、同8月から全国で整備が進む。
県内では22年、既に「スムーズ横断歩道」や道路を狭めるなどの対策が施されていた、茨城県つくば市要の道路がゾーン30プラスの初指定を受けた。水戸市渡里地区の2カ所と常陸大宮市抽ケ台地区の1カ所も指定され、今後は同市根本地区でも整備が進められる。
このうち、水戸市立渡里小近くの市道は、児童が登下校したり、日中や夜間は自転車や歩行者が利用したりする生活道路。しかし、大通りへの抜け道として通行車両が多かったため、地元住民の要望を受けた市が22年12月、水戸署と協議してゾーン30プラスの道路に変更した。23年3月にはポールによる道路狭窄(きょうさく)、路面に凹凸があるように見せる「イメージハンプ」なども設置した。
県警交通規制課によると、同地区では22年、3件の人身事故が発生したが、23年はゼロ。調査では、通行車両が減って速度も抑制されたことが分かった。
市は、ゾーン30プラスの適用について「一定の効果があった」とみており、「危険な道だと認識してもらえれば運転者も注意できる」と設置の意義を強調。今後は、市内のゾーン30区域についても「各現場を確認し、必要に応じて道路標示の塗り直しなど追加対策をしたい」としている。
警察庁によると、全国の人身事故発生件数は減少傾向にあるが、車道幅員5・5メートル未満の事故減少率は鈍化。事故全体に占める割合も横ばいとなっている。
県警は「渡里地区の事例を踏まえ、道路管理者の自治体や地元住民と協力して整備を拡張できるか確認したい」としている。